
前半戦を終えたプロ野球は7月23日と24日のオールスターゲームを挟み、7月26日から後半戦となる。
ここで思うのは、昨年9月の「悪夢」を再現しているかのような、広島カープの大失速である。7月1日時点では首位阪神と4ゲーム差の2位につけていたが、そこからわずか3週間で大きく順位を落とす。7月22日時点での月間成績は3勝12敗3分。7つの借金を抱える苦境に突入して5位に転落し、Aクラス争いどころではなくなってきた。
この急激な転落に呼応するかのように、地元紙・中国新聞の名物コラム「球炎」の論調には大きな変化が現れた。これまでは選手や首脳陣の采配への直接的な批判を避ける傾向があり、温情的なトーンや応援含みの姿勢が顕著だった。事実を隠す発表を続けた戦時中の「大本営発表」になぞらえて、「大本営」と揶揄されるほどである。
過去には「信じて支えるのがファン」といった精神論でまとめる記事や、采配ミスを指摘しない構成が続き、チームの問題点を深掘りする姿勢に欠けていた。結果として「地元だからこそ見えているはずの問題を、あえて直視しない」「ぬるま湯体質に寄り添うだけ」との指摘が出ることに。
ところがこの7月、「球炎」の筆致が一変する。
7月19日の〈かみ合わぬ現状つらい〉では、継投策の乱れや打線の機能不全が敗因に直結している現状を指摘しつつ、〈なんと辛抱強いファンの多いことか〉と観客の反応を交えて、表層だけではない分析を試みた。
翌7月20日は〈中心選手、候補がいない〉。小園海斗への送りバント指示や坂倉将吾の懲罰交代について具体的に言及し、不可解な采配への疑問を呈した。
さらに7月21日の〈代償の敗戦、むなしい〉でも、厳しい論調は続く。走塁ミスに起因する坂倉のスタメン外しを「代償」と表現し、主軸を欠いた敗戦の痛みと、指揮官の決断の重さを示唆した。
これは4月に見られた論調とは大きく異なる。〈限界に挑む「強さ」十分の夜〉〈どんな時も変わらぬ攻めの姿勢〉など、チームの好調ぶりを称賛するコラムが並んだのが、今や正反対なのである。
当時の「球炎」は、新井貴浩監督の方針や選手たちの姿勢を肯定的に取り上げ、起用や戦術を「美談」として描く場面が多く、批判や検証の記述は控えめだった。
「球炎」がこれまであまり触れてこなかった領域に筆を伸ばし始めたことは大きな変革であり、前向きな試みといえる。ただ、それが一時的な方針転換にとどまるのか、それとも本当に「地元紙としての役割」を再認識した結果なのかは、今後の継続を見なければわからない。
苦境に立つカープと同様に「球炎」という報道姿勢も今、岐路に立たされている。(ケン高田)
(※引用元 Asagei plus)