広島のV奪回のカギを握るのは、チーム帰還を決めた菊池涼介となりそうだ。
菊池がメジャーリーグとの入団交渉を打ち切ったのは、12月27日だった。同29日に広島の球団事務所に向かい、「4年・年俸3億円プラス出来高」で契約を交わした。4年という複数年契約から、「メジャー挑戦の夢は諦めた」と伝えられているが、広島というチームは“寛大”でもある。メジャーリーグ側の評価が変われば、菊池の背中を押す可能性は十分にあると見るべきだろう。
「黒田、マエケンこと前田健太が高いノルマをこなし、ファンにも後押しされる形でメジャーリーグに移籍しています。菊池はチームの3連覇に大きく貢献しているので、V奪回のために改めて存在感を見せれば、状況はまた変わってきます」(プロ野球解説者)
そもそも、菊池がメジャーリーグとの交渉に失敗した理由だが、「時流に合わなかった」ということだろう。メジャーリーグでは「そのポジションを守らせたら右に出るものはいない」という“職人”よりも、複数のポジションが守れる“便利屋”の方が好まれる。また、近年のメジャーリーグは特定の打者に対し、極端に守備位置を変える変則シフトも流行している。遊撃手がセカンドベースよりも右側に守ったりするヤツだ。
こうした“メジャーリーグの変貌ぶり”を聞くと、菊池も「新しいスタイル」を見せなければならない。その関連だろう。こんな情報も飛び交っていた。「サードが決まっていない」と――。
「昨季、前任の緒方孝市監督は『三塁・安部』の構想でペナントレースに臨みました。安部友裕(30)がレギュラーを掴みきれず、日替わりになる時期もありました。新外国人選手のピレラに守らせるのか、それとも、安部とピレラの併用になるのか、今季はまだ決まっていません。出場停止中のバティスタが帰ってくれば、スタメンの一塁手も再検討となります。現時点では外野手の松山竜平(34)に一塁を守らせる予定ですが」(前出・プロ野球解説者)
ショートも2年目を迎える小園と田中がレギュラーを争う。2020年の広島は良い意味でレギュラーが固定されないようだ。そんなチーム状況を指して、“セカンドの守備職人”である菊池も影響を受けそうなのだ。
まず、菊池個人に関する情報として、
「米球界との交渉のため、代理人との打ち合わせにも多くの時間を割かれました。オフシーズンとは言え、例年よりも練習量が少ないので心配」(スポーツ紙記者)
と、懸念の声が聞かれた。
加えてまた、菊池の調整不足を受けて、こんな指摘もされている。
「序盤戦、サードのレギュラーを争う安部とピレラの両方が打撃好調だった場合、その両方をスタメンで使う試合も出てくるかもしれません。ピレラがセカンドに入って、途中から菊池が出てくるような試合も…」(球界関係者)
その時、菊池がセカンドではなく、サードに入ることも予想されていた。
2020年はオリンピックの影響でペナントレースがいったん中断される。そのため、例年よりも約1週間早い開幕となる。菊池のようにオフシーズンに十分なトレーニングができなかった選手は、序盤戦で苦しむことになるかもしれない。しかし、菊池の守備センスなら、三塁の守備も十分にこなせるはずだ。これは“便利屋”を好むメジャーリーグに向けた再アピールにもなるだろう。ベテランとしてチームも牽引していかなければならない。菊池はチームのためを思い、喜んでセカンド以外の守備にも着くのではないだろうか。(飯山満)
(※引用元 リアルライブ)