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なぜ、菊池涼介はメジャー挑戦を断念したのか?直面したMLBの現実

2020年1月9日

なぜ、菊池涼介はメジャー挑戦を断念したのか?直面したMLBの現実

菊池涼介、メジャー移籍を断念

昨年末の12月27日、ポスティングシステムによるメジャーリーグ移籍を目指していた菊池涼介が会見を開き、広島カープへの残留を表明した。菊池は新たに広島と4年契約を結び、事実上、メジャーを断念した。契約は年俸3億円プラス出来高払いで、野手としては球団史上最高額となった。

菊池は会見で「メジャーリーグのFA市場の動きが遅いこともあり、この状況が続くのであれば、僕の思いをくんでくれたカープになるべく早く残留を伝えたほうがいいと思った」とメジャー断念の理由を語った。

二塁手のFA市場は供給過多

もっともこのオフのFA市場は近年に比べるとそこまで動きが遅いとは言えない。2018年のオフは、ブライス・ハーパーやマニー・マチャドといったFAの目玉が2月後半まで所属球団が決まらなかった一方で、今オフは早々に主要なFA選手の契約が成立している。2019年、シーズンが始まっても所属チームが決まらなかったサイ・ヤング賞左腕ダラス・カイケルも新年を迎える前にホワイトソックスとの3年契約を勝ち取った。

ただ、セカンドに関しては確かに供給過多だった。MLBの公式サイトによれば、選手の総合的な貢献度を意味するWARが1.0以上であるセカンドのFAは10人と、他のポジションよりも多かった。実際、移籍情報を専門的に扱う米サイト「MLBトレード・ルーマーズ」は、菊池がメジャー移籍に至らなかった要因の一つとして、ライバルとなる他のセカンドが市場に多く出回っていることを挙げている。菊池の場合、他のFA選手とは異なり、通常の契約に加え、ポスティングシステムに伴う広島への譲渡金が必要だったこともメジャー移籍の足枷になったと思われる。

守備職人が直面したMLBの現実

また、菊池のストロングポイントが現在のMLBではそこまで魅力的でなかったこともメジャー断念の要因として考えられる。菊池の最大の売りといえば、7年連続のゴールデン・グラブ賞受賞が示すように守備力の高さである。守備範囲の広さは驚異的で、その敏捷さは「忍者」や「猿」と称賛されるほどだ。

ただ、現在のメジャーリーグでは内野手に守備範囲の広さはそこまで要求されない。多くのバッターに打球方向の傾向が表れるメジャーリーグでは、頻繁にシフトが敷かれるからだ。とくに左打者の場合は2019年、41.9%の割合で守備シフトが敷かれた。典型的な左打者のシフトでは、三塁手が本来遊撃手のいるポジションにつき、一・二塁間を一塁手、二塁手、遊撃手の3人で守るため、二塁手が広い範囲をカバーする必要がなくなったのである。

前述のMLBトレード・ルーマーズも触れているが、もともと打撃面の評価は低く、守備面でその欠点を補えなかったために菊池の獲得に乗り出す球団がなかなか現れなかったのだろう。

それでも菊池は一流の守備職人である

言わずもがなだが、メジャー移籍を断念したからといって菊池が一流の守備職人であることに変わりはない。それはメジャーリーガーも認めるところで、2017年の第4回WBCのオランダ戦では、ザンダー・ボガーツのヒット性の当たりを好捕。「素晴らしい動きだった」とボガーツは語り、同じくオランダ代表でゴールドグラブ賞常連のアンドレルトン・シモンズも拍手を送った。

問題なのは、現在のMLBでは内野手の守備力にそこまで重きを置いていないということだ。アメリカと日本の野球の違いが、菊池涼介の前に壁となって立ちはだかったのである。

夢だったメジャーリーグの舞台に立てず、悔しさは残るだろうが、広島に残ったのは賢明な判断だったと思われる。そこには彼の守備力を必要とする環境があるからだ。メジャーリーグに移籍してしまっては見られなくなったであろう、忍者が縦横無尽にグラウンドを駆け回る姿をこれからも楽しめるのだ。

(※引用元 SPAIA

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