3月25日からプロ野球が開幕して各球団は開幕カードを終えた。わずか3試合だが、プラスポイント、マイナスポイントの両面があらわになっている。開幕カードで見えた、セ・リーグ6球団の「課題と光明」とは――。
読売ジャイアンツ
打線はしっかりと主軸のバットが振れており、ケガで開幕2戦を欠場したキャプテン・坂本勇人も早期復帰でいきなり結果を残した。先発陣は山崎伊織、ドラフト3位の赤星優志という一軍初登板の2人が6回を投げてゲームをつくり、ドラフト1位の大勢が抑えに収まるなど、目に見える形で新たな力が台頭している。その中で課題を明白、中継ぎ陣だ。現状の中心であるはずの高梨雄平、R.デラロサは不安定で(3月28日に登録抹消)、それ以外のリリーフ陣も四死球を連発した。昨季の必勝パターンを担った中川皓太、鍵谷陽平、T.ビエイラがいまだ調整中と台所事情は厳しいが、大勢につなぐまでの勝ち継投をいかに確立していくか。しばらくは手探りの継投策が続くことになりそうだ。
中日ドラゴンズ
立浪ドラゴンズが開幕3戦目にして初勝利を手に入れた。巨人との3戦目は7回まで1対5の劣勢で3連敗が近づいていたが、8回から3イニング連続でスコアボードに「2」を刻む痛快な逆転劇。最後まであきらめず、終盤で逆転できる打線のつながりこそ、立浪和義監督がチームに求めていたものだ。岡林勇希、石川昂弥、鵜飼航丞の若竜たちがスタメンに名を連ねてチームを勢いづけた。ただ、四番ビシエドのあとを任された五番の木下拓哉が3戦無安打。高橋周平が故障で離脱中だが、今後も五番打者には頭を悩ませることになりそう。また開幕2戦目にして「新・勝利の方程式」が崩壊。岩嵜翔が右ヒジ痛で登録抹消となった。リリーフ陣再編成がなされ、万全で迎えた投手陣に早くも試練が訪れている。
阪神タイガース
ヤクルトとの開幕カード3試合で防御率9.64という数字がすべてを語っている。リリーフ陣の防御率だ。絶対的な守護神だったスアレスがMLBのパドレスに移籍し、クローザーが課題となっていた。3月中旬に来日したケラーが開幕までの間に3試合しか実戦登板していなかったが、それでも矢野燿大監督はクローザーとして起用することを明言。開幕戦では8対7と追い上げられた中で9回に登板し、2本の本塁打を打たれ3失点で逆転を許した。この救援失敗を招いたのも、その前の8回にリリーフの齋藤友貴哉と岩崎優が4失点したことにある。これにより、開幕シリーズの流れがヤクルトに行き3連敗。課題であった中継ぎ、クローザーの問題が顕著にでた形となった。光明は3戦目で先発したドラフト3位の桐敷拓馬が6回途中3失点と粘れたことで、先発ローテーションで回れる可能性を示したことだ。
東京ヤクルトスワローズ
阪神相手に14年ぶりの開幕3連勝で、連覇へ向けて最高のスタートを決めたヤクルト。正捕手・中村悠平の不在という緊急事態も、古賀優大、松本直樹の好リードで2、3戦目と連続で完封勝利を挙げたことにより不安は一気に解消された。唯一、課題を挙げるとするならば、捕手陣の打撃くらいか。開幕3連戦で捕手の打撃成績は14打数1安打。開幕戦に途中出場した内山壮真が1本打ったのみで、古賀、松本直に安打はなかった。昨季チームトップの打率.279を残した中村までとは言わないが、打撃でもチームに貢献することができれば、下位打線を起点にさらなる得点力アップが見込まれるだろう。
広島東洋カープ
オープン戦とは打って変わって高い得点力を見せる攻撃陣は、光明中の光明だ。主砲・鈴木誠也は抜けたとあって、佐々岡真司監督も「今年は長打というよりも、つないでつないで1点」。それを見事に体現してくれたDeNAとの開幕3連戦だった。特に、開幕戦は先発全員安打を含む17安打11得点、第2戦は14安打10得点と、2試合続けての2ケタ得点に猛攻。この勢いがずっと続くわけはないと思うが、少しでも長く好調をキープしてほしいところだ。開幕3連勝と最高のスタートの中で、不安が残ったのは守護神・栗林良吏の状態。3戦目で今季初登板を果たすと、制球に苦しんでサヨナラのピンチも招いた。1点を失いながらも何とか今季初セーブを挙げた右腕は、「ストライク先行ができなかったのは、良くない点だった」。次登板までにきっちり修正できるか。
横浜DeNAベイスターズ
開幕3連敗──課題は明白だ。17安打、14安打、10安打と開幕カードで広島に許したヒットは計41本。2戦目の敗戦後、「ちょっと打たれすぎ」と口調を強めた三浦大輔監督の怒りも効果がなく、結局3試合連続で2ケタ安打を献上してしまった。2戦目で試合をつくれなかった先発・大貫晋一も誤算だったが、リリーフ陣の失点が課題として残る。明るい材料は攻撃陣だ。第3戦ではクリーンアップ3人がそろって本塁打を放ち、強力打線の健在ぶりをアピール。ほかにも開幕からスタメンに起用され続け、バットが振れている楠本泰史の存在も大きい。やはり、浮上のカギは投手陣にかかっている。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)