労組・日本プロ野球選手会の定期大会(会沢翼会長=広島)が5日、大阪市内で開かれ、FA権取得年数短縮などの保留者制度改革について議論を行った。
従来から選手会が主張し、議論の中心となった保留制度改革に関しては日本野球機構(NPB)と小委員会を設置し、話し合うことが決まっている。
12球団との小委員会について会沢会長は「委員会に参加し、発言し、一致団結して戦っていくことが重要」と選手にも委員会の場に参加を促していく方針を示した。
今後の方向性として選手会は同委員会の中で、FA権取得年数を国内、海外、大学社会人出身、高校出身の条件を問わず一律で6年とし、人的や金銭による補償を完全撤廃することなどを求めていく。
一方、同会長が厳しい目を向けたのは、最近注目を集めている育成制度についてだった。同制度は本来、将来有望な選手の育成を目的として2005年に導入されたもの。しかし、近年は故障者を育成契約に切り替えて支配下登録枠を空ける、またFA移籍に伴う人的補償の「プロテクト外し」など、従来の目的と違う形の事例が目立っていた。
最近では巨人のFA砲、梶谷が故障の影響で年俸2億円のまま育成選手となったことも話題となった。
会沢会長は「本来の目的以外に使われていることが多々、目立っている。ルールの下で戦うのがプロ野球。ルールをねじ曲げることがあってはならない」と語気を強めた。
NPBとの小委員会の中で今後は育成制度の運用方法についても是正を求めていく方針だという。
今回の会沢会長の意見に関してはこんな声もある。
「しごくまっとうな意見。最近の育成制度の悪用は目に余る。本来は多くの選手にチャンスを与える目的の育成制度が、年俸高騰を避けるための調整弁に使われていたりなど、数多くの不規則事例も目立つ。ここで改めて本来の主旨に基づいて運用方法について話し合うのは大事なこと」(球界関係者)
巨人では梶谷以外にも「リハビリ枠」の選手として、中継ぎの中川、平内、左腕・高橋、野手の立岡などを一斉に育成選手にしたことも波紋を呼んだ。
同制度発足後は、巨人・山口、ソフトバンク・千賀、甲斐など「育成の星」と呼ばれる選手も多く輩出。野球人口の減少が課題となる中、裾野を広げる意味でもプロ野球界にとって大事な制度であることは間違いない。今一度原点に戻って、真摯な対応が求められそうだ。
(※引用元 CoCoKARA)