ポストシーズン進出を狙う広島が延長11回、最下位の中日にサヨナラ負けを喫した。本紙評論家の川又米利さんは野球における1球の怖さを改めて指摘した。
「勝利は目前。広島にとってはホームランだけ避ければ、という場面だった。なのに…。マウンドの栗林にとっては悔やみきれないボールになった」
6点差をはね返し、9回表についに1点勝ち越し。だがその裏、2死無走者からビシエドに同点弾を浴び、敗戦の呼び水になった。栗林が打たれたのは初球、内角高めの151キロ真っすぐ。ストライクコースにかかっていた。
「ビシエドにとってはイチかバチか。高めの真っすぐが来たら思い切って、と腹をくくっていたと思う」。そこにおあつらえの速球。本塁打の出にくい大きな球場であろうが、関係ない。打った瞬間、試合が動くことを確信させる当たりだった。
栗林とビシエドには「復調気配」というワードが共通する。ともに調子がいいから、相手の隙は逃さない。「栗林は明らかにコントロールミス。受ける坂倉も体を使って、低めを指示していた。真っすぐを投げるならもっと内に厳しく、見せ球として」。広島には相当な授業料を要する1球になった。
(※引用元 Asagei plus)