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走力が復活した鈴木誠也、前田智徳が断念した「5ツールプレーヤー」

2019年12月26日

走力が復活した鈴木誠也、前田智徳が断念した「5ツールプレーヤー」

リーグ4位の25盗塁、「足」でも魅せた鈴木誠也

広島、そして日本の4番打者として凄みを増してきた鈴木誠也。今季は打撃だけでなく、走塁面での貢献も見逃せなかった。これまで盗塁数のシーズン最高は2016年と2017年の16盗塁だったが、今季は4番ながらリーグ4位の25盗塁を成功させている。

広島は2012年のドラフト時、鈴木とほかの野手で迷った際に、その選手と比べて「走力」が2位指名の決定打となったという。もともと高校時代から足は高く評価され、走攻守の三拍子揃った野手になれると期待されてプロの世界に入ってきた選手である。

ただ、昨季はその足で魅せるシーンが少なかった。2017年の後半戦、外野守備でフライを好捕した際に着地を失敗し、右足首を骨折。復帰した昨季も右足にはボルトが埋め込まれたままで、走ることに関しては万全ではない状態で戦っていたのだ。

2018年の盗塁は4つ。また、盗塁に加えてベースランニングも含めた総合的な走力を表すセイバーメトリクスの指標「スピードスコア」を見ると、4.90(2015年)、5.79(2016年)、4.56(2017年)ときていたものが、2018年は3.17へ落ち込んでいる。

今季のスピードスコアはリーグ10位(規定到達打者)の3.95まで回復。外野手としてもゴールデングラブ賞に返り咲き、三拍子揃ったプレイヤーとしての姿を取り戻すシーズンになった。

6年目にアキレス腱断裂、スピードを失った前田智徳

鈴木は今季から、「51」だった背番号を「1」へ変更している。広島のレジェンド、前田智徳の番号を継承したのだ。シーズン規定打席到達時に打率3割以上が11回を数えた天才打者も、若いころは走攻守どれを取っても一流のプレイヤーだった。打率を残す「ミート」、本塁打を打つ「パワー」、走者としての「スピード」、外野を守っては「守備範囲」と「肩」。その5つすべてが一流である「5ツールプレイヤー」の代表的な存在だったといえるだろう。

前田のプロ入り数年の成績を見ると、3年目に打率.308・19本塁打・89打点、4年目に打率.317・27本塁打・70打点と早くから好成績を挙げる一方、2年目から3年連続で2桁盗塁をマーク。4年目までのスピードスコアは通算で5.05(鈴木の7年通算スピードスコアは4.66)となっており、現在の鈴木をしのぐ指標を残していた。

しかし、5年目の1994年から足の状態が悪くなり、6年目の5月の試合中に右アキレス腱を断裂。その後は故障を抱えながらのプレーとなり、7年目以降はシーズンのスピードスコアが1度も3点台に届いていない。武器のひとつであったスピードは怪我で失い、5ツールプレーヤーとして鳴らした期間は短かった。

若き日の前田智徳に重なる「5ツールプレーヤー」

2017年8月23日の横浜スタジアムで、鈴木がグラウンドにうずくまって起き上がることもできなかった場面。前田のことが頭をよぎったというファンは少なくないのではないだろうか。奇しくも前田の足の状態が悪くなってきたのと同じ5年目の出来事であり、痛めたのも同じ右足である。

鈴木も、復帰したシーズンは今までのように走れなくなっていた。だが、再びスピードを取り戻した。

すでに鈴木は「現役最高の5ツールプレーヤー」の立場にあると言って問題ないだろう。レギュラーに定着してからの4年間は毎年30本塁打近くと3割以上の打率をマークし、今季は打率.335で自身初の首位打者を獲得。足に加えてバズーカのような強肩で、すでに3度のゴールデングラブ賞に選ばれている。

前田の現役引退から6年が経つが、「怪我がなければどれほどの選手になっていたのか」という声は未だによく聞かれる。広島に帰ってきた背番号「1」が、これからその答えを見せてくれるのではないだろうか。

(※引用元 SPAIA

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