強烈な破裂音を残したインパクトの直後、センターを守るロッテ・藤原恭大は落下予測地点へ向けて足を動かしたが、打球が外野の芝生部分に差し掛かる頃には内心諦めているような追い方だった。
2月14日の広島対ロッテの練習試合。広島の主砲・鈴木誠也が2回の先頭打者で打席に立つと、初球をフルスイング。初回を三者凡退に抑える上々の立ち上がりを見せていた相手先発・唐川侑己を1球で仕留め、豪快な一発をバックスクリーンに叩き込んだ。
侍ジャパンでも4番を任される男の2020年シーズンは、1試合目の1打席目の1球目に本塁打という最高の形で幕を開けた。
鈴木は第2打席でもレフトポール際へあわやホームランという特大のファールを放ち、センターフライに倒れた打球も風や球場次第ではスタンドインしてもおかしくない力強いものを見せた。
ユニフォーム越しでもハッキリと見て取れるほど盛り上がった上半身は、正しく筋骨隆々。1番・田中広輔、2番・菊池涼介らほぼベストオーダーを組んだ打線の中でも1人だけ別格だった。
鈴木は2年続けて1.000超えのOPSを記録し、昨季は首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得した。確実性の面でも長打力の面でもメジャークラスといって差し支えないだろう。令和初の三冠王、最有力候補で間違いない。(小中翔太)
(※引用元 THE DIGEST)