先発の頭数はそろってきた
6月28日の中日戦(ナゴヤドーム)で、広島の新人・森下暢仁が初勝利を挙げた。8回まで無失点ながら、9回に3失点で完封、さらに完投も逃したのは残念だったが、まだ今シーズン、12球団での完投は、先輩の大瀬良大地しかいないんだから上等だろう。最後まで真っすぐには力があったが、変化球はストライクとボールがはっきりしていた。球数も136球だから、少し疲れが見えたのは確か。
10対0と点差もあったし、何とか完投はしてほしかったけどね。
森下は初登板のDeNA戦も7回まで無失点ながら9回にスコットにマウンドを委ねたらワンアウトも取れず満塁にされ、最後は宮崎敏郎にサヨナラ打を浴びた。攻撃陣の爆発は、あの試合を野手が反省したこともあるだろう。3連覇のときは、経験のない若い投手が多少リードされても、攻撃陣が取り返して逆転勝ちした試合も多かった。
今のカープにまだ、あのときのような強さは感じないが、少しずつ投打の歯車がかみ合いだしてきた気がする。
少し話を戻すが、森下の初登板の敗北の後が巨人の3連戦だったが、広島はK.ジョンソンで初戦を落とし、少し嫌な雰囲気になった。今回の過密日程では例年以上に、“流れ”が重要になる。いいほうならいいが、悪いほうに傾くと、なかなか修正できない。
ここで踏ん張ったのが九里亜蓮だ。7回を1失点で三振9つには佐々岡真司監督もびっくりだと思う。もともと奪三振の多いタイプじゃないからね。体がパワーアップし、球の切れが増しているんだと思う。今のカープは先発陣は大瀬良、森下、K.ジョンソン、九里、あとはパッとしなかったが、遠藤淳志と床田寛樹で頭数は一応、そろった。
問題は抑えだ。万全の抑えがいると、相手はそこに行く前に試合を決めようと焦る。結果的には相乗効果で先発も安定する。昔のカープなら江夏豊さん、大野豊さん、津田恒実、現監督の佐々岡もそうだった。今はスコットが抑えをやっているが、正直、最後を託す安心感がない。こうなると、配置換えもひとつの手だ。
たとえば先発から回すとかね。遠藤も球の力があるから悪くないが、まだ心が若い気がする。メンタル的には、九里かな。ここぞの場面で絶対0点に抑えるという圧倒的な安心感まではないが、1イニング限定なら球速も上がるだろうし、四球を出すタイプじゃないのも大きい。気持ちも強いし、意外と向いているかもしれない。
これを九里が読んだら、せっかく先発で結果が出てきたのに余計なことをと怒るかもしれんが、長い野球人生を考えたら、しばらく抑えをやってみるのもいい経験になると思うよ。もちろん、決めるのは佐々岡監督だけどね。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)