コロナ渦影響?6月は大きく負け越し
2016年からセ・リーグ3連覇した広島が低迷している。佐々岡真司監督就任2年目の今季は開幕ダッシュに成功し、4月上旬までAクラス。懸案だったクローザーにドラフト1位ルーキーの栗林良吏を固定し、快調な滑り出しだった。
しかし、徐々に歯車が狂いだし、5月には新型コロナ感染者が出たため試合が中止され、菊池涼介や鈴木誠也ら主力が登録抹消。6月に入って戦線復帰してもチーム成績は復調の気配を見せておらず、交流戦は3勝12敗3分けで最下位。6月はここまで5勝15敗3分けと大きく負け越し、リーグ最下位に沈んでいる。
ほんの3年前までセ・リーグを引っ張っていた広島の急落を誰が予想しただろうか。侍ジャパンの東京五輪代表には菊池涼介、鈴木誠也、森下暢仁、栗林良吏と12球団最多の4人が選出されており、辞退した會澤翼を含めると24人中5人が広島勢だった。戦力的にはいつ浮上してもおかしくないはずだ。
同期の小園海斗と3、4番組む林晃汰
しかし、そんな状況で明るい話題もある。未来の主砲候補・林晃汰の台頭だ。
智弁和歌山高時代にセンバツ準優勝し、高校通算49本塁打をマークした左のスラッガー。2018年ドラフト3位で入団すると、1年目の2019年から二軍で102試合に出場して7本塁打を放ち、昨季は69試合出場で、いずれもウエスタン・リーグ2位の9本塁打、40打点をマークした。
今季も開幕は二軍だったが、36試合で6本塁打を放つ猛アピールが実って5月18日に一軍昇格。徐々に出場機会を増やし、ここまで27試合出場で打率.376、3本塁打、19打点を記録している。打数が少ないとはいえ、長打率.515、OPS.921は、高卒3年目の20歳としては申し分ないだろう。
新型コロナウイルスのワクチン接種の副反応の影響でスタメンを外れた鈴木誠也に代わって4番を務めるなど、首脳陣の信頼も日増しに上昇。同期のドラフト1位・小園海斗と3、4番で並ぶスタメンを見ると、数年後が楽しみになる。
高校時代に後塵を拝した根尾昂や藤原恭大に追いつけ追い越せ
強みは左打者を苦にしないこと。今季は右投手に対して71打数25安打、打率.352だが、左投手には30打数13安打、打率.433をマークしている。
ただ、SPAIAのゾーン別データでは、低めに対応できていないことが浮き彫りになっている。ベルトラインより上のボールはどのコースも打率3割以上をマークしているが、逆に下のボールは外角低めの19打数2安打9三振を筆頭に、からっきし打てていない。ここまでハッキリと傾向が出ると相手投手は攻めやすいため今後の課題だろう。
2018年と言えば、大阪桐蔭が甲子園春夏連覇し、根尾昂(現中日)や藤原恭大(現ロッテ)ら左の強打者がドラフト1位でプロ入りした。センバツ決勝で敗れるなど、大阪桐蔭には常に後塵を拝してきた林がプロで巻き返すか。まだまだ先の長い野球人生で、チームとともに浮上していきたい。
(※引用元 SPAIA)