オールスターブレイクを経て、後半戦に突入しているペナントレース。果たして、クリーンアップの一角である三番打者はしっかり働いているのか? セ・リーグ6球団で「三番打者」を100点満点で評価した。(※記録は8月1日現在)
広島東洋カープ
広島 70点
小園海斗から西川龍馬に代わり、西川の負傷離脱後はなかなか定着することのなかった三番だが、6月30日に電撃加入した秋山翔吾がその座に収まった。入団後4試合の二軍出場を経て、7月8日の中日戦(バンテリン)から一軍合流。“初出場”から三番で起用され続けている。本来の広角に安打を打ち分ける高い打撃技術からすると、まだまだなようにも思えるのだが、徐々に調子が上がってきていることは間違いない。7月22、23日のヤクルト戦(神宮)では連日の本塁打を含む7安打6打点で、首位相手の勝ち越しに成功した。31日の中日戦(マツダ広島)でも2安打3打点。こうなると、気になるのは西川が戻ってきたときの三番の行方だ。秋山にしても、西川にしても、勝負強いのは確か。西川の一軍復帰が待ち遠しい。
読売ジャイアンツ
巨人 50点
開幕時に三番に入ったのは新助っ人のG.ポランコ。もちろん三番は攻撃の仕上げ役ではあるが、打線においてはいかに機能的な「一・二番」を形成できるかに重点が置かれている。開幕から一番に座っていた吉川尚輝の故障離脱を機に丸佳浩を先頭打者に据えたところ、これが機能。復帰後の吉川は三番に入った。だが、徐々に攻撃が停滞すると見るや一番・吉川、三番・丸と一、三番を入れ替えて前半戦を終えている。いずれにしても先発三番成績で15本塁打はともかく、打率.266、35打点はやや物足りない。今後も打順の最適解を探る中で、入れ替えが行われていくかもしれない。
東京ヤクルトスワローズ
ヤクルト 75点
四番の村上宗隆とともに打順が固定されているのが三番打者。その三番に座るのはもちろん山田哲人だ。7月8日に新型コロナウイルスに感染し一時離脱したものの、復帰した7月24日の広島戦(神宮)では決勝本塁打。94試合消化時点で、83試合に出場し16本塁打、51打点、8盗塁、打率.255の数字を残している。過去3度のトリプルスリーを記録しているだけに少し寂しい成績にも感じるが、9本の先制打(うち5本は本塁打)を放つなど、リーグ2冠王の村上とともに強力打線の主軸として機能している。ただ、7月29日の阪神戦(甲子園)では5回の守備からベンチに下がり、翌30日の同戦では二塁守備でエラーを記録するなど、コンディションが完全に戻ったようには見えていない。優勝へ向け、まずはベストコンディションを整えることが最優先となる。
阪神タイガース
阪神 95点
気が付けば今季は三番としての試合出場のほうが多くなった。ここまで97試合に出場し、三番打者では50試合に出場している近本光司。30試合連続安打も三番打者としてがほとんどだった。一番で打率.280、7打点、三番で打率.323、18打点とクリーンアップとしての役割を果たしている。6月から阪神が快進撃で借金最大16を返済し、今や勝ち越しているのは強力な投手陣とともに、三番を打つ近本が役割をこなし四、五番へとチャンスを回したからだ。その意味でも95点の活躍と言える。残り5点は現在1本塁打だがクリーンアップ、三番としてもう少し一発が欲しいところか。
横浜DeNAベイスターズ
DeNA 90点
開幕戦こそ楠本泰史が座ったが、開幕3戦目以降は佐野恵太が三番を任される試合が多い。今季、佐野はキャンプ中のケガで調整遅れが心配されたが、序盤から安定して安打を量産。出塁率の高さから交流戦で一番を打ったことで新たな経験値も得た。現在は再び三番で起用され、ここまで打率.331でセ・リーグのリーディングヒッターにつける。チャンスでは自らのバットで走者をホームに迎え入れ、走者がいなければチャンスメークして四番・牧秀悟、五番・宮崎敏郎につなぐ。現時点では理想的な三番打者と言える。狙うは2年ぶり、2度目の首位打者のタイトルだ。
中日ドラゴンズ
中日 30点
前半戦だけで実に18人が三番に座った。スタメン起用で一番多かったのはアリエル・マルティネスで24試合、次いでルーキー鵜飼航丞の14試合。開幕前、立浪和義監督は今季の三番は高橋周平と明言していたが、その高橋が開幕直前に故障したことでスタートからプランが崩れた。復帰した高橋周、阿部寿樹、木下拓哉、大島洋平、溝脇隼人、郡司裕也……打撃好調の選手を次々に三番に置いたが、三番に入るとことごとく打てなくなった。前半戦の三番の打率は驚くなかれ.216。投手が座る九番の次に低い打率が八番、七番(ともに・236)ではなく、三番なのだから得点力不足も納得だ。後半戦は阿部でスタートしているが、誰が座ろうともっと打たなければ浮上は望めない。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)