トリプルタワーの勝利の方程式
日本シリーズは、1996年以来となるオリックスの日本一で終わった。MVPはラオウこと杉本裕太郎だったが、一番感じたのはオリックスのリリーフ陣の力だ。
要所でベテランの比嘉幹貴が相手のチャンスの芽をことごとく摘み、さらに宇田川優希、山崎颯一郎、ジェイコブ・ワゲスパックの長身右腕が角度ある150キロ台後半の球をドンドン投げ込んで、ヤクルト打線を圧倒した。
リリーフは本来、いろいろなタイプがいたほうがいいと言われるが、比嘉は別とし、彼ら長身右腕がドンドン攻め込む継投を見ていたら、これもありだな、と思った。
角度ある150キロ台後半の真っすぐとフォークが武器の似たタイプの右腕3人がつなぐという今までなかったトリプルタワーの勝利の方程式だ。
特に株を上げたのが、昨年育成ドラフトで入団し、わずか3カ月前まで育成だったという宇田川だ。高いリリースの位置から速球とフォークを武器に4試合に投げて無失点。陰のMVPと言ってもいいだろう。
投手にとって身長は大きな武器になる。単純に180センチ台後半の選手が正しいメカニズムで投げたら150キロは普通に出るし、190センチ台後半なら160キロも出ると思っている。もちろん、ある程度の筋力、柔軟性がないと継続しては難しいけどね。
まずは体づくりの1年を
そういう意味で楽しみなのが、今年広島に入った斉藤優汰だ。苫小牧中央高の投手で身長は189センチ。すでにマックスは151キロというし、映像を見てもクセのないいい投げ方だ。
新井貴浩監督は高卒だから急がずに、何年かあとのエース候補として期待していると思うし、彼にはまず1年間、ファームで体づくり、フォームづくりに専念し、球速アップを目指してほしいな。
160キロとは言わないが、150キロ台後半が常に出るところまで上げることでフォークの威力も増すはずだ。
それで2年目は「カープの宇田川」ではないが、まずはセットアッパーはどうだろう。先発陣から抑えの栗林良吏につなぐ、今のカープの最重要ポイントだが、そこに長身右腕が入ることで一気に盤石になり、迫力が増す。
二軍投手コーチは、高橋建と永川勝浩だが、永川も長身でフォークが武器のクローザーだったから教育係にはちょうどいいかもしれないね。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)