広島の新外国人ケビン・クロンが開幕を前に、本領を発揮してきた。3月7日のヤクルトとのオープン戦(マツダ広島)で、来日12試合目、36打席目にして待望の一発が飛び出した。
続く9日の阪神戦(甲子園)では2点を追う3回二死満塁から左越えの豪快な逆転グランドスラムを放った。実戦の数をこなしてきたことで、「しっかりとボールは見極められ始めてきた。いいスイングができ始めている」と手応えを口にした。
身長195センチ、体重115キロとチーム内でも圧倒的なサイズを誇る助っ人砲。父が元メジャー選手、兄は現役メジャーという家庭に育ち、2014年ドラフト14巡目でダイヤモンドバックスと契約。19年には3Aで82試合に出場し、リーグトップの38本塁打、105打点、打率.331の好成績を残した。同じ右の長距離砲で、カープ在籍7年間で133本塁打を記録したエルドレッドの再来を期待されている。
他球団の新外国人選手のほとんどが入国できていない中、チームになじむこと、キャンプインに間に合わせることを最優先し、球団が提示した来日プランで最速の1月3日の入国を選択した。
春季キャンプでも率先して早出練習に参加するなど、マジメに練習に取り組む勤勉な姿勢に、首脳陣も目を細めている。春先の実戦で結果が伴わない中でも愚直に練習を継続し、ジワジワと状態を上げてきた。
広島では6年もの間、本塁打王のタイトルを獲得した選手がいない。昨季チームでは鈴木誠の25発が最高だった。14年エルドレッド以来7年ぶりの本塁打王のタイトル奪取に大きな期待がかかる。日本の野球に順応することができるか、背番号10の大型助っ人に注目だ。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)