広島からの無償トレードで5年ぶりに巨人に復帰した長野久義外野手(37)が15日、都内で入団会見。現役生活を巨人で全うする決意を表明し、過去に入団拒否した2球団に〝お詫び移籍〟する計画は幻となった。
「慣れ親しんだユニホームを着て、また新しい気持ちでルーキーのように頑張りたい。とにかく今はやる気に満ちあふれています」と金屏風の前で語った長野。会見後は「とにかく監督が横にいたので緊張しすぎた」と大量の汗をぬぐった。
秋季キャンプ地の宮崎から戻り同席した原辰徳監督(64)は、2018年オフにFA補強した丸の人的補償で、長野が広島に移籍した当時の心境を吐露。プロテクトリスト28人枠から外したが、長野の指名は「まさかという気持ちもあった」「FA制度のルール上、仕方ないと思いつつも少し悔しい思いもした」と回顧した。
長野は日大4年時の06年ドラフトで日本ハム、社会人ホンダ2年目の08年はロッテに指名され、いずれも入団拒否。09年にようやく意中の巨人に1位指名されプロ入りした。熱烈なG党だったのは事実として、2度の遠回りは周囲の大人の事情も大きく絡んでいたとされる。
義理を欠くことになった2球団のスカウト陣にプロ入り後、ことあるごとに頭を下げる長野の姿があった。両球団のファンを傷つけたことも気に懸ける義理堅い男に、かつて夕刊フジはこんな提案をしたことがある。
「巨人一筋もいいが、現役の最後は日本ハムとロッテで1年ずつプレーしてはどうか」。お詫び行脚のジャーニーマン計画に、本人も「いいですね…」と本気とも冗談ともつかない反応を見せたが、当時は誰も想像できなかった別球団への移籍が数年後に待っていた。
4年間を過ごした広島が親心を見せ、今夏に持ちかけた古巣復帰。「いい経験をさせてもらい、丸君に感謝してます」という長野は、もう自らの〝死地〟を見つけたようだ。残る現役生活は「できればジャイアンツで全うしたい」と言い切った。(笹森倫)
(※引用元 夕刊フジ)