セ・パともにペナントレースの優勝チームが決まり、プロ野球の評論家たちが開幕前に予想した順位予想の“答え合わせ”の季節がやってきた。とりわけ今年、ファンの注目を集めていたのが、順位予想に際して「解説者人生」を懸けるような宣言をした元広島・達川光男氏である。
今年のセ・リーグは阪神の優勝を予想した評論家も多かったが、昨年まで2連覇中だったヤクルト、2年連続V逸で王座奪還を目指した巨人、昨年2位のDeNAを優勝に推した評論家も少なくなかった。最下位予想は中日と広島に集中しており、現在2位とCS進出圏内で踏ん張っている広島の順位を大きく外しているケースが目立った。
そんな広島の優勝を予想した数少ない評論家のひとりが、広島OBで監督経験もある達川光男氏だった。阪神を2位と予想し、巨人を4位、中日は最下位にするなど、予想はかなりイイ線をついていた。
そんな達川氏だが、開幕前のシーズン展望を語った際に話題になったことがある。達川氏がMCを務める『全力!達川塾』(テレビ新広島)はじめ、広島の地元メディアでの発言だ。3月26日放送のNHK・BS1『スポーツ酒場“語り亭”』に出演した際も同様のコメントがあった。順位予想を披露するとともに、次のような話をしていたのだ。
「大瀬良(大地)は必ず15勝以上します。もし今年15勝以上して、貯金も10個以上作らなかった場合は、もう解説者引退することにしたんですよ」
そんな言い方で達川氏は、新井貴浩・新監督率いる広島の優勝と、昨年2度の一軍登録抹消で8勝9敗の成績に終わった大瀬良の復活を予想したのだ。
番組内では共演していた真中満氏から「いきなり話が重すぎますよ。そんなこと言わずに一緒にやりましょう」とフォローされ、達川氏は「いやいや1回、この番組は引退します」と笑いを誘ってその場は収まった。
ところが、その後も「大瀬良が15勝しなければ達川光男は解説者引退」という部分はファンの間で拡散された。一方の大瀬良は5年連続の開幕投手としてヤクルト戦のマウンドに立つも、5回2失点で敗戦投手となった。その後、巨人とヤクルトに連勝したものの、11日間の休養期間後に登板した4月26日の中日戦で左太腿裏の違和感を訴えて降板。登録抹消された。その後も復帰と抹消を繰り返し、オールスターゲームまでに3勝7敗と低迷。ネットでは「達川、解説者ピンチ」と騒がれるようになった。
「責任は取ります」
後半戦も3勝4敗の成績。9月20日には2位争いをするDeNA戦に先発したが、2失点で6回途中に降板。負け投手となり、DeNAとのゲーム差はわずか1となってしまった。
今シーズンの大瀬良は22試合に先発し、6勝11敗。完投も完封もなく、防御率が3.60の成績だ。達川氏が予想した15勝、貯金10どころか、借金5の成績だった。本当に解説者を引退するのだろうか。達川氏を直撃した。
「よう覚えとったね。たしかにそう発言したよ」
としたうえで、こう続けたのだ。
「ただ、それには『ただし』がついとるよ。27試合以上登板し、イニングが(規定投球回数に)足りたら、と。それは言った。ケガしたりなんかして、14試合しか投げないと絶対に15勝できんわけじゃし。たしかに言うたよ。
実際、そう言い切るぐらいキャンプでは(大瀬良が)よかったということ。それが腰や肘の故障をしてしまって……。そりゃ勝負にならんよ。開幕の時の調子ならいいが、そこから故障しとるわけじゃからの。ワシも(大瀬良が)万全でこれなら引退しますよ。
あれだけ後ろが大きくて、ザトペック投法みたいに投げていたのが、シーズンに入ったら投げ方が去年に戻っている。そりゃ勝てんよね。大瀬良が万全なら阪神と(順位が)逆になっとったけん。それ以外にカープの弱点はなかった」
そして、達川氏は「ま、ワシの見る目がなかったということで、反省の日々です。坊主にしようかと思ったが、それは勘弁してもらって、床屋でいつもより少しだけ短く切ってきました」としながら、こうも話した。
「(『全力!達川塾』の)塾長は辞める。ホンマに辞める。冠番組を引退して責任は取りますよ。だけど解説は辞めないよ。辞めたらメシが食えなくなるけん」
来シーズンの大瀬良について聞いてみると、
「ダメだろうな。こんなもんよ。歳も歳だし飛躍的によくなることはない」
と断言。大瀬良の話題はこりごり、といった様子だった。
(※引用元 NEWSポストセブン)