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「球界一のノッカー」海を渡る。新天地・台湾で何を掴んでくるのか?

2022年12月26日

「球界一のノッカー」海を渡る。新天地・台湾で何を掴んでくるのか?

千賀滉大が海外FAでソフトバンクからニューヨーク・メッツへ、吉田正尚がポスティングシステムでオリックスからボストン・レッドソックスへの移籍を果たした今オフ、もうひとりの日本人が海外挑戦を決めた。

広島東洋カープで守備・走塁コーチを12年間務めた玉木朋孝が、台湾の統一ライオンズから守備コーチに招聘されたのだ。

彼の名を聞いて、ピンと来る人は決して多くないかもしれない。現在47歳。東京・修徳高校から1993年ドラフト3位で広島に指名されて7年間在籍、2001年からオリックスに移籍して5年間プレーしたが、2005年に現役引退。通算12年間で1度もレギュラーにはなれなかった。

現役引退後は広島のスコアラーを務め、2011年に二軍守備走塁コーチに就任。その後、玉木の手腕は知られるようになっていく。

球界一のノッカー。

玉木はいつしか、そう言われるようになった。強弱、リズム、打球の質──。目的に合わせて打ち分けながら、選手の守備力アップに寄与していく。ノック道の飽くなき追求は、NHK BS1の『球辞苑』でも取り上げられたほどだ。

「単純に、現役時代に大した選手ではなかったですからね。コーチになった以上、他球団のどの指導者より絶対うまくなってやろうと。試行錯誤しながら、いろんな打球を打つ練習もしました。ユニフォームを着てプロである以上、選手のためにならないといけない。それが自分のためにもなるので」

打球を遠くに飛ばしたい時は、トスを高く上げる。トスの高さで弾道をコントロールするのだ。逆に打球を詰まらせる場合は、体の近くにトスする。ゴロを打つ時はボールの上部の3分の2を潰すようにして打ち、フライなら下部の3分の2を上から潰すようにスイングする。

こうした技術面の追求に加え、ノックに込める目的も深い。

「春季キャンプでは体づくりから始まるので、打球にどういう強弱をつければ足を使って捕球体勢に入れるかを考えます。動くことで体力アップにつながるので。実戦に近づけば、強い打球や横に振る打球など実戦と近いノックを打つ。そうやって1年間のスパンを考えて、ノックの『弱い、中くらい、強い』という分け方でいろんな打球を打ちます」

【田中広輔も教え子のひとり】

玉木はカープにコーチとして在籍した12年間で、一軍と二軍に配置された。ノックを打つ際、打球に込める意図は一軍と二軍で異なってくる。

二軍では林晃汰、羽月隆太郎ら将来のレギュラー候補と期待される若手に対し、長いペナントレースを戦い抜けるだけのスタミナづくりを求めた。

「二軍の選手はまだ体力が十分ではないので、ノックを受けさせるだけではなく、ゴロを転がして、足を使って補球してスローという基本動作をシーズン中にもさせました。夏場は暑くてバテてしまうので、そこまでにどう体力をつけるか。野球の動きも身につけさせながら、一軍で”使える”選手に育てることを考えていました」

対して、一軍のレギュラークラスはセカンドの名手・菊池涼介に代表されるように、「ほとんど完成されている」。彼らがコーチに求めたのは「どうなっていますか」「今、僕はどうやって捕っていますか」など、”鏡”としての役割だった。

「今、足が動いていないから、前に出られていないんだぞ」「もう少しグローブを下から出さないと対応できないよ」などと、玉木は自分の目で観察したことに加え、対応策を提示した。

「コーチ」の語源は「馬車」で、望まれた目的地に連れていくことが役割だ。玉木が続ける。

「『守備にスランプはない』と言われますよね。たしかにスランプはないけど、自分が思っていることと”ズレ”が生じているから、合わなくなることがあります。選手はそういうことを聞いてくるので、『今はこうなっているから、ちょっと合ってないぞ』とアドバイスしていく。そういう会話をすることで選手の意識が変わってくると、『なるほど』と納得してやってくれます」

玉木が広島のコーチ時代、特にうまく寄り添えたひとりが田中広輔だ。

入団2年目の2015年からショートのレギュラーを不動のものにすると、翌年から3シーズン続けてフルイニング出場を達成。2018年には坂本勇人(巨人)、大和(DeNA)、京田陽太(当時中日/現DeNA)ら群雄割拠のセ・リーグのショートで自身初のゴールデングラブ賞に選出された。

【台湾から予想外のオファー】

快挙の裏にあったのは、田中の高いプロ意識だった。玉木が振り返る。

「春季キャンプ中から居残り練習を行ない、自分から『ノックを打ってください』と言ってきました。そのなかで『逆シングルでこうやって捕ったら早く投げられるよ』などとアドバイスしていきました。2017年はエラーが16個あったけど、翌年は7個まで減らしています。本人が高い意欲を持ちながら努力したことで、田中広輔は成長していきました」

一軍では「勝たなくてはいけない」なか、2016年から球団史上初のリーグ3連覇に尽力。強いカープを支えたのは、「当たり前のプレーを当たり前にする」ことだった。守備では打ち取ったゴロを確実にアウトにし、走塁では全力疾走するといったプレーだ。

文字にすれば”簡単なこと”のように映るが、半年間に週6のペースで143試合を消化するペナントレースでは、決して容易なことではない。だからこそ、多くの指導者が「当たり前のプレーを当たり前にしろ」と口にする。

玉木も口を酸っぱくして伝え続けながら、チームの成長を実感した。

「当たり前のゴロをアウトにし、全力疾走する。そうしたプレーを徹底させることで、選手は意識づけができてきます。特に最初の2016年の優勝は、試合をするごとに成長していきました。

たとえば、ピッチャーがファーストのベースカバーに遅れたら、選手同士で『しっかり入れ』と叱咤激励する。コーチが言わなくても、選手たちにそういう意識がありました。ベンチ内の言葉にも厳しさを持って言い合えていたので、これは強いチームだなと単純に思いましたね」

玉木は2022年限りで広島と契約満了になったが、今後もユニフォームを着てコーチ業を続けたいと考えた。自身のコネクションを通じて動き出すと、思いもよらぬオファーが届いた。

「台湾の統一ライオンズが、NPBの経験があるコーチを欲しがっている」

同学年で、ニュージーランド代表の指導歴もある清水直行(元ロッテ)から、そう聞いた。

BCリーグ・茨城アストロプラネッツのGMで、アメリカで各地を転戦しながらMLB球団や独立リーグとの契約を目指す「アジアンブリーズ」を運営する色川冬馬が、野心ある人材を探していたのだ。

【コーチも海外で勝負する時代】

玉木にとって「渡りに船」だった。

「日本にとどまらず、いろんな野球を見てみたいという思考はもともとありました。アメリカや台湾など日本以外も見ていかないと野球人として成長していかないと思っていたので、チャンスが訪れたなと」

現役時代はアメリカの独立リーグなどでプレーし、イラン代表や香港代表の監督を務めた経験もある色川には、野望がある。日本球界に、既存のルートとは違う道を開拓したいという思いだ。

すでに茨城球団のGMとしてダリエル・アルバレスをソフトバンクへ、セサル・バルガスをオリックスに送り出した。今年のドラフトでは、高校中退など紆余曲折した渡辺明貴がDeNAに育成4位で指名された。

日本球界に新風を吹き込む色川にとって、玉木を統一ライオンズに送り出すのは、新たな挑戦の第一歩になる。玉木への期待を、色川はこう語る。

「NPBのコーチを長年続けて、そこから自らの意思で海外に行くのは、なかなかなかったルートです。広い世界に出て、もっと引き出しを増やし、NPBに戻ってきた時にコーチとしての価値が向上していることが理想です。

玉木さんには新しいコーチのあり方を、ロールモデルとして示してほしい。台湾に行くのは玉木さんの指導者人生のプロセスだと思っているので、次のステージも楽しみにしています」

玉木は現役時代にスポットライトを浴びたわけではないが、「球界一のノッカー」と言われるまでになった。今は台湾の言語を学んでいる最中だ。通訳はつくが、なるべく頼りたくないと考えている。

NPBのコーチは1年契約が通例だが、台湾球界ではシーズン中の4月から10月までと短くなる。その期間に少しでも多く吸収しながら、コーチとしての手腕をどれだけ発揮できるか。

来季、海の向こうで千賀や吉田が大きなチャレンジを始めるのと同じように、玉木は新たなユニフォームをまとって勝負に出る。(敬称略)

(※引用元 web Sportiva

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