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カープの熱狂的ファンSTU48・甲斐が語る「ファンと推し」の関係

2023年6月22日

カープの熱狂的ファンSTU48・甲斐が語る「ファンと推し」の関係

始球式も務めた「広島東洋カープ推し」アイドル

昨今、好きなアイドルやアニメなどを応援する「推し活」「オタ活」がブームである。それを裏付ける数字も出ている。オタク市場に関する矢野経済研究所の調査によると、2022年度の同市場規模は前年比7.1%増の約7164億円と右肩上がりに。

「推し」という言葉は、かつては主にオタクカルチャーの中で使われていたが、今ではすっかり市民権を得ている。例えば、漫画「推しの子」のコミックス累計発行部数は900万部(5月31日現在)を突破し、テレビアニメは幅広い世代から人気を博しているのが象徴的だろう。

人々に推される代表格のアイドルでありながら、自身は熱烈な「広島東洋カープ推し」なのが、瀬戸内エリアを拠点にするアイドルグループ・STU48の甲斐心愛さん(19)だ。生まれも育ちも広島県で、コンサートのステージ上などでも広島弁をまくし立てる。野球が大好きで、偶然にも母校は高校野球の強豪校という筋金入りである。

昨年3月には、地元・広島の子どもたちなら誰もが憧れるマツダスタジアムでの始球式を務め、幼少時代から思い描いていた夢を叶えた。今シーズンはカープの公式応援歌「それ行けカープ」の著名カープファン/リレー映像にも出演している。

プライベートでは、年間15回ほどマツダスタジアムで試合観戦する。一人で足を運ぶことも多い。これまでの人生で観戦回数は100回を余裕で超える。「STU48の仕事がない日はできるだけスタジアムに行くし、仕事がある日でも終わってからナイターに間に合えば行きます」と甲斐さんは顔をほころばせる。

ここまでの説明でお分かりのように、いわゆる“ビジネスファン”ではなく、正真正銘の熱狂的なファンである。そこで本稿では、甲斐さんのカープ偏愛を紐解くとともに、推す側と推される側双方の立場にあることで得られたものなどを聞いた。

宿題を終わらせてマツダスタジアムに通う日々

「理由も何も、身近にありすぎて、当たり前だった」

カープファンになった経緯について、甲斐さんはこう言い切る。実家にはしゃもじやカンフーバットなどの応援グッズがあり、午後6時になるとテレビが点いてカープのナイター中継が始まる。このように生まれた時からカープは生活の一部に組み込まれていたため、ファンになったという自覚すらなかったという。

甲斐さんにとって人生初の球場観戦は、今はなき広島市民球場だった。

「一度だけ父さんが市民球場に連れてってくれて。うっすらと覚えているのは、その試合はカープが勝ったので、ずっと肩車をしてもらって家に帰りました」

具体的な観戦時期はわからないというが、広島市民球場でプロ野球の公式戦が行われたのは08年9月まで。仮にそのシーズンだったとすれば、甲斐さんは4歳である。

小学校に上がると輪をかけてカープが身近な存在になってくる。広島の小学生はカープの歴史などを授業で習う。また、カープファンの教職員が多く、カープが勝った翌日はその話題で持ちきりになるため、授業時間が短くなることもよくあったと甲斐さんは振り返る。

広島の街に出ればチームカラーの赤色が至るところに点在し、テレビではどのチャンネルも毎日カープのニュースを流している。広島で暮らしていれば、カープファンにならない理由を探す方が難しいそうだ。

そうした環境で育った甲斐さんはカープとともに、野球そのものにも魅了されていった。

「スタジアムに行って、周りの人たちの見様見真似で『かっ飛ばせー!』と声に出して応援するのが楽しくて。応援した選手がヒットを打ったり、打たなくても全力で走っとる姿を見たりして、野球っていいなと思いました」

小学生の高学年になると、子ども向けのファンクラブである「ジュニアカープ会員」に加入。そこからは足しげくスタジアムに通うようになった。

「学校の宿題が終わったらいいという約束だったので、さっさと片付けて、毎日のように行っていました」

ちょうどそんな頃のこと。甲斐さんにとって今でも忘れられない、本格的に“カープ推し”になった試合がある。

「2014年4月2日のカープvs.ヤクルト。当日チケットを父さんが買ってくれて、バックネット裏で観戦していたのですが、この試合は堂林翔太選手がサヨナラホームランを打って、勝ったんです。普段の生活の中でこんなにワーワーと喜びを周りの人たちと分かち合えたり、幸せを噛み締めたりできることがあるんだと知りました。しかもその試合は延長12回だったから、夜遅くまでスタジアムにいて。子ども心にちょっと悪いことをしているという楽しさと、野球だから許されるんだという嬉しさを覚えています。この試合がカープにのめり込んだきっかけですね」

家中がカープグッズで溢れる

そんな甲斐さんが他のカープファンにも負けないものとは何だろうか。

一つは所有するグッズの量だという。大小合わせて数百個はくだらない。家中がグッズで溢れかえっている。限定販売のようなレアグッズも、あの手この手でゲットする。

「親に整理しろと言われたけど、捨てることはできません」と甲斐さん。やむを得ない場合は妹や友達にあげるが、それでもまたすぐに別のグッズを買ってしまう。

実はグッズ収集は幼少期からの“習慣”も関係している。実家のルールが独特で、おもちゃは買ってもらえなかったが、カープグッズだけは何でも買ってもらえた。最初におねだりしたのはリストバンド。選手名などはなく、白地に「CARP」と書かれたものだったが、それが甲斐さんのカープグッズコレクションの入り口になった。

毎年数多くの種類のグッズが販売されるが、とりわけステッカーは新しいものが出たらすぐに購入する。以前はステッカーをすべてキャリーバッグに貼り、仕事で出張するたびにゴロゴロと転がしていた。

「でも、壊れてしまって……。めっちゃ悲しかった」

ある日、キャリーバッグが変わっているのを目にしたSTU48のメンバーからは、「あのカープのスーツケース、どこいった? カープ捨てたの?」といじられた。今は新しいバッグを再びカープ仕様にするべく、せっせとステッカーを貼る日々だ。

「ヤカン」もお気に入りのグッズである。「赤いヤカンです。頻繁に使うから、ポンって置いてある。それがかわいい。キッチンにカープがあるんですよ!」と、甲斐さんは屈託のない笑顔で嬉しそうに語る。

そのほか、スニーカーなどのカープシューズも愛用していて、「これ」と言って履いているものを見せてくれた。一度ソールが剥がれたため、修理して使っている大切な一品だ。とにかく興味を持ったグッズはできるだけ身に付けて、手に入れたい性分である。

ライブ本番前でも「こいほー」

もう一つ、甲斐さんのカープファンとしての強みは、「こいほー」の速さだという。

「こいほー」とは、カープが勝った時の歓喜のツイートのこと。阪神タイガースなら「とらほー」、福岡ソフトバンクホークスなら「たかほー」と、プロ野球チームの各球団にあるSNS上の言葉である。なぜ即座にツイートできるのかというと、常にカープのスコア速報をチェックしているからだ。たとえライブの合間でも隙さえあれば見ている。

「(23年4月に2日間開催されたSTU48の)6周年コンサートでは、1日目のリハーサルが終わって本番が始まる前に、カープが勝ったという通知がスマホに来ので、ツートして、『カープ勝ちました!』と大きい声で皆にも知らせました。翌日も勝ったから、『今日もカープ勝った、やばい!』とメンバーにすぐ伝えました」

*以下、当日の甲斐さんのツイート

今ではすっかり、STU48において甲斐さんがカープの情報発信源となっている。

県外メンバーが驚く、広島の独特さ

これほどまでに熱心なファンが身近にいたら、他のメンバーも感化されて新たにカープファンになるのでは。そう尋ねると、「まだいないですね……」と甲斐さんは苦笑いする。

とはいえ、昨シーズンはメンバーをマツダスタジアムに連れ出した。

「2期生の川又あん奈ちゃんを一度連れていったら、『本当に楽しいからまた行きたい。今年も絶対に連れてってください』と言われました。もちろん、一人で行くのも好きで、隣の席の人に今まで知らんカープのこととかを教えてもらったりする。だけど、友達と行くのも楽しいから、そう言ってもらえて嬉しかった」

その時はユニフォームと帽子、応援バット、リュックを2個ずつ自宅から持って行き、川又さんに貸し出した。最後に帽子はプレゼントして、バットもあげようとしたが「さすがにいらないです」と断られてしまったそうだ。

香川出身の川又さんをはじめ、STU48には広島県外から集まってきたメンバーも多い。彼女たちが広島の街に対して一様に驚きを抱くのが、甲斐さんにとって新鮮だという。

「(カープの試合がある日は)広島駅が赤くなっていたとか、町中でカープが目につきますとか、よく言われます。でも、私は19年間ここで育っているから、普通の感覚なんですよね。あー、外から見るとそういう風に見えるんだと」

「カープ女子」の流行は嬉しかった

カープファンが全国で急増したのは、2014年に「カープ女子」という言葉が、ユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選ばれた前後だろう。こうした流行に対しては賛否両論がつきものだが、生粋のカープ女子である甲斐さんはどう見ているのか。

「いや、嬉しかったですよ。その時には『にわかカープファン』と言う人もいたじゃないですか。でも、最初は皆にわかだし、たとえ薄くてもファンの母数が多いほどいい。テレビ中継を見ていて、『ビジターなのに、こんなにスタンドが真っ赤に染まって素敵!』と私はずっと思っていました」

このように寛容なのは、自身の体験もあるからだろう。甲斐さんは物おじしないため、スタジアムでも隣の席の人に「いつからカープファンなんですか?」などと話しかけるそうだ。すると、たまに年配のカープファンから「衣笠(祥雄)を知っとるか?」とか、「北別府(学)のすごさ、わからんやろ?」とマウンティングされることがある。

「そういうとき、私は教えてくださいというスタンスで接しますが、ファンになりたての人も、そうでない人も仲良くすればいいんです。新井(貴浩)監督が言うには、カープは家族だから。対立しないで、皆で一緒に応援するのが一番」

自分も推す側だから、ファンの存在は尊い

もはや甲斐さんにとってカープは日常生活にも大いに影響を及ぼしている。

「カープが勝てば、次の日は元気になれます。去年の夏頃、仕事やレッスンで忙しく、なかなか自分の時間が取れないことがありました。でも、カープが勝ったという通知を見た瞬間、弱音を吐いてる場合じゃないなと本気で思ったんです。カープも頑張っているんだから、私も頑張ろうと」

カープに一途な甲斐さんを見て、自身も励まされるという甲斐さんのファンも少なくない。実際に、一生懸命カープを応援している姿のことを、握手会やお話し会などで褒められるそうだ。そうしたファンの心理を甲斐さんはよく理解できる。

「応援には苦楽があります。でも、カープが結果を出せば、何事にも変えられない達成感や喜びがある。このために私は応援してるんだって思います。まさに堂林選手のサヨナラホームランを見て、皆でワーと感動したように。あれがあるから、ずっと応援できる。きっと私のファンの人も同じ。私が(表題曲の)選抜メンバーに入って嬉し涙を流したり、始球式という夢が叶って喜んだりと、その瞬間を見るために応援してくれているんだと思います」

甲斐さんは言葉を続ける。

「もちろん、毎回結果を残せるわけじゃないから。カープも、アイドルも。でも、成長していく過程を見るのも楽しいはず。カープもそうだったから。小学生の時はなるべく勝てそうだなと思う試合を選んで見に行っていました。でも、今は目を背けなくなった。交流戦は目を背けるかもしれんけど(笑)。勝てない時期もずっと見てたから、精神的に強くなりました。私のファンの人も強いと思いますよ。いっぱい挫折をしてるから。本当に、ファンの人には不甲斐ない思いばかりさせとるけえ」

推す側と推される側。この関係性は仲間意識を強固にするという。「時にはファンの方から激励や厳しい言葉もいただきますけど、応援されるのは思っている以上に力になります。だからこそ、お互いの存在が必要なんだと実感しています」と甲斐さんは噛み締める。

日頃のファンサービスに加えて、カープのことも大好きになってもらうために、いつかファンと一緒にマツダスタジアムで野球観戦する“推し活”企画をやりたいと甲斐さんは願っている。

今シーズンからチームリーダーに就任した新井監督の下、5年ぶりのリーグ優勝を目指すカープだが、22日の時点では4位にとどまり、なかなか勢いに乗り切れていない状況である。それでも、甲斐さんは楽観視している。

「試合を見に行った時も、去年までとはベンチの活気が違いました。中でも新井さんの声やリアクションが一番大きい。本当に野球が好きなんだな、カープが好きなんだなということが私たちファンにも、選手たちにも伝わっています。ベンチの良い雰囲気は新井さんから出とるんだなと思いました」

ここからの巻き返しを図ることで、甲斐さんの「こいほー!」の叫びが何度も飛び出すことを期待したい。

(※引用元 現代ビジネス

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