開幕前の下馬評は低かった広島が、首位阪神に1ゲーム差の2位で前半戦を折り返し。今季就任の新井貴浩監督(46)のメリハリある指導方針が、昨季まで4年連続Bクラスのチームに躍動感を与えている。
17日のDeNA戦(横浜)は5回に同点に追いつき、7回に秋山の勝ち越し打で1点リードのまま逃げ切り。3試合連続の1点差勝利で5連勝を飾って前半戦を締めくくり、指揮官は「厳しい戦いばかりだが、モノにできるのはチームが成長している証しだと思う」と目を細めた。
現役時代は練習の虫で通算2000安打を達成した努力の人。指導者となっても練習から手抜きは絶対に許さない厳しさを持つ半面、選手の年齢に近い青年指揮官らしく操縦術を心得ている。
助っ人の不振や守護神栗林の不調、さらには4番西川の故障離脱でも白星を重ねられているのは、若手や実績の少ない選手たちの踏ん張りによるところが大きい。「発展途上の選手がおびえることなく思い切ってプレーできている。積極的なプレーによるミスを責めないのが一番大きい」とチーム関係者。目に見えて分かるのは盗塁数で、すでに47盗塁と昨季の26盗塁の2倍近くまで急増している。
不振で3カ月間2軍暮らしが続き、今月4日に再昇格したプロ5年目の小園海斗内野手(23)も、この日は先発起用に応えようと好守を連発。「素晴らしいプレー。力をつけていると思う」とうなずいた新井監督は、仏の顔で若鯉たちを見守りながら後半戦で逆転Vを狙う構えだ。(山戸英州)
(※引用元 夕刊フジ)