10月14日からプロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが始まる。セ・リーグは2位広島が本拠地マツダスタジアムで3位DeNAを迎え撃つ。143試合のレギュラーシーズンを終えて両チームのゲーム差はわずか0.5だった。広島は先に10月1日の阪神戦に敗れて日程を終了し、10月4日の巨人-DeNAの最終戦の結果次第で、広島が2位か3位か決まるという状況だった。現行制度のプロ野球では、「2位か、3位か」が大きな違いを生むことになる。
10月4日の巨人-DeNA戦の前に、評論家でカープOBの達川光男氏は、「新井(貴浩監督)にツキがあるから、いけるかもしれんね」と呟いていた。すでに広島、DeNAともにCS進出を決めていたが、最終戦で巨人が勝てば広島が2位、DeNAが勝てば広島は3位という状況になっていた。スポーツ紙デスクが言う。
「2位になったチームは、10月14日に開幕するCSファーストステージが本拠地で開催できます。当然、ホームでの声援を受けられるので2位のチームが有利になるうえに、興行収入は主催球団の収益となるのです。最大3試合分の売り上げが球団に入るということ。3位の球団には遠征宿泊費が支払われるだけだが、2位の球団は大きな“臨時収入”を得られるわけです」
オフの補強費に回せる
マツダスタジアムの1試合の入場料収入は約1億円といわれる。さらに放映権料が約8000万円、物販や飲食代金などもあり、1試合で約2億円の売上とされている。最大3試合なら約6億円となるのだ。在阪球団関係者はこう言う。
「昨年まではコロナ禍の影響で観客数も大幅に規制されていた。今シーズンは規制がなくなったことで収益も従来に戻る。2位でのCS進出による“臨時収入”からオフの補強費に回すこともできるだろう」
10月4日の試合は、巨人の山崎伊織がプロ初完封勝利をあげ、敗れたDeNAの3位が確定。結果、マツダスタジアムで初となるCSファーストステージ開催が決まった。全体練習をしていた新井監督は、「正直言うと自力で(地元開催を)決めたかったですが、素直に嬉しいです」コメントした。
「原監督退任」報道も追い風に
前出の達川氏は最終戦前に、「新井にツキがある」と話していたが、実際に広島にとって喜ばしい展開になった。試合後に改めてなぜ「ツキがある」と感じていたのかを聞くと、次のように話した。
「(10月4日の試合は)DeNAは勝てば2位、負ければ3位のプレッシャーのなかでの戦いだった。それに加えて巨人は前日に原(辰徳)監督の退任報道が流れ、最終戦後に原監督退任のイベントが行なわれる予定となった。巨人ナインにとっては負けられない試合となっていたからね」
広島とは関係ないところで、広島有利な状況が生まれていたとする解説だ。結果、DeNAは打線がわずか2安打に抑えられ3位になった。「あと1つ」が勝てなかったことで、DeNAは億単位の臨時収入を手にするチャンスを逃したわけだ。
CSのファイナルステージは1位の阪神の主催試合となるが、日本シリーズまで進めば主催球団として収益を得られる。新井監督のツキは、どこまで続くだろうか。(了)
(※引用元 マネーポストWEB)