阪神の勝利で幕を閉じた今年のセ・リーグクライマックスシリーズ(CS)。広島・新井貴浩監督(46)の言葉が注目された。試合への意気込みや選手のプレーについて、これでもかというほどポジティブな言葉を並べたからだった。
DeNAとのファーストステージは積極采配がさえ渡って、2連勝突破。阪神とのファイナルステージ第1戦を翌日に控えた会見では「むちゃくちゃ、やろうかな」とも発言した。
「展開によってはもうリスク上等で、むちゃくちゃやらないといけない場面も出てくるのかなと…。『失敗したら、もうごめんなさい!』だよ」
地元・広島のテレビ局などのカメラが並び、報道陣が囲んだ前で超積極采配を宣言していた。
この会見前のことだ。新井監督を待つ大勢の取材陣の前に、3年目の矢野雅哉内野手(24)が立った。流れたのは微妙な空気…。高い身体能力で抜群の守備を見せるものの、決戦前にチームを代表して取材を受けるほどの実績は正直、まだない。質問者とも沈黙が数秒。実はこれ、新井監督のいたずらだった。所在なげな矢野に代わり、お待ちかねの新井監督がカメラ前に登場。和んだ空気の中、前出の言葉などを雄弁に語った。
囲み取材を受けるときなどは笑いを取らないと気が済まないのか、よく冗談を言う。練習中のグラウンドで笑いの輪ができていれば、そこにはたいてい新井監督がいる。
現役時代は師と仰ぐ金本知憲元阪神監督にとことんいじられて育った。いじりいじられ、ネタを振りまく。爆笑を呼ぶ「新井さん」は監督になっても全く変わらない。笑うことにはさまざまな効果があるらしい。健康増進、パフォーマンス向上といった科学的データも出されている。新井監督が意図していたとは思えないが、短期決戦前もチームに笑いが絶えることはなかった。
4年連続Bクラスから2位に躍進した新井カープの1年目。積極采配、ポジティブ力に加えて、笑いの多さも印象に残った。(井原泰大)
(※引用元 中日スポーツ)