手には、確かな感触が残った。高めカーブを振り抜いた二俣翔一の打球は、美しい放物線を描いて左翼席に飛び込んだ。プロ初スタメンとなった4月25日のヤクルト戦(神宮)の第1打席で、高橋奎二からプロ本塁打。
「反応でしっかり打てたホームランでした」。代打で高梨雄平からプロ初安打を放った19日の本拠地・巨人戦以来、プロ6打席目の記念すべき一発だった。
2021年の育成ドラフト1位は、22年秋に支配下登録。だが、支配下1年目の昨季は一軍登録こそあったが、出場はなかった。今季は開幕一軍こそ逃したものの、両外国人の故障離脱によって開幕3戦目から一軍昇格し、4月4日の本拠地・ヤクルト戦でプロ初出場。
「今年が4年目。1年目、2年目はケガでなかなか二軍の試合にも出られないときがあったが、今考えると、その期間も無駄な時間ではなかったと思う」と、かみ締めた。
昨季、ウエスタン・リーグで最多94安打を放った打力を、一軍の舞台で発揮した。新井貴浩監督は「スイングするときに体が流れなくなってきている。体重も増やしたということで、昨年に比べて軸が強化されているんじゃないか」と、背番号99の成長を感じ取る。
入団時は捕手だったが、打力を買われて2年目に内野手転向。昨季から外野にも取り組み、プロ1号を放った試合は左翼での起用だった。
「まだまだ課題、勉強する部分はいっぱいあるけど、出場機会の幅が広がったことはプラスに捉えて、どのポジションでも全力プレーすることを心掛けている」。21歳の若鯉は次なる1本、さらにその先の1本を目指して突き進んでいく。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)