巨人は2018年12月12日、FAで獲得した丸佳浩外野手(29)の人的補償にともなう28人のプロテクトリストを広島に提示した。広島は金銭補償と人的補償プラス金銭補償のいずれかを選択することが出来るが、以前より人的補償を求める意向を示しており、年内にも選手獲得へ動く可能性が高くなった。
丸外野手が巨人入りを表明した直後、広島の鈴木清明球団本部長は人的補償を優先する意志を明かした上で、「1年でも活躍できるなら(年俸が)高くても問題ない」と語っており、獲得を目指す選手について若手に限らず、補強ポイントにマッチすればベテラン選手の獲得も辞さない構えを見せた。
大型補強でますます壁厚く
より獲得選手の幅を広げてきた広島。通常ならば、プロテクトから外れた選手は結果が出るまでは戦々恐々のはずだが、関係者によると、広島への移籍を希望している若手の選手が少なからずいるという。
巨人は今オフ、丸外野手をはじめ、現役メジャーリーガーのクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(27)、炭谷銀仁朗捕手(31)、中島宏之内野手(36)、岩隈久志投手(37)を獲得し、大型補強に成功した。12球団随一のスター軍団であり、投手陣、野手陣とも激しいレギュラー争いを強いられる。
その一方で、2軍はイースタン・リーグを4連覇中で若手の成長ぶりも著しい。松原聖弥外野手(23)は、今季イースタンでリーグトップの打率.316をマーク。和田恋外野手(23)は18本塁打、87打点でイースタン2冠王に輝いた。この2選手はプロテクトが想定されるが、巨人の外野手は丸、長野久義(34)、陽岱鋼(31)、亀井義行(36)、重信慎之介(25)らが控えており、若手がチャンスをものにすることすら難しい状況にある。
投手陣においても同様で、エース菅野智之投手(29)を筆頭に選手の層は厚い。来季から岩隈投手が加わることで、先発陣により厚みが増した。駒が一つ増えたことで、その分、構想から外される選手が出てくる。
第二の一岡へ「願ってもないチャンス」
前出の関係者は「巨人の若手で他の球団に出ていきたがっている選手は多い。いくら2軍で実績を残しても、1軍でスタートラインにさえ立つことができないとぼやいてますよ。このまま飼い殺しにされるくらいなら、他球団に行って1軍で試合に出たいという選手が増えている。今回の広島への移籍の話も、若手にとっては願ってもないチャンスでしょう」と話した。
FAの人的補償で巨人から広島に移籍したケースで、一岡竜司投手(27)の成功例がある。2013年、大竹寛投手がFA権を行使して広島から巨人に移籍した際、広島は大竹投手の人的補償として当時22歳の一岡投手を獲得。一岡投手は移籍した年から1軍のマウンドに上がり、今季は59試合に登板して6勝をマーク。来季の年俸は、2400万円増の7700万円(金額は推定)と、大きく飛躍した。
広島の補強ポイントは、投手では左の先発の補強が急務だろう。現在、来季の活躍が見込める左の先発は、今季11勝5敗をマークしたクリス・ジョンソン投手(34)のみ。野手陣は、丸外野手の穴を埋めるべく左の大砲がほしいところだが、将来性を見込んで若手を獲得する可能性も十分ある。
巨人が広島に提示した28人のプロテクト選手の詳細は不明だが、投手陣は14人前後のプロテクトが想定され、捕手は阿部慎之助(39)、小林誠司(29)、大城卓三(25)、宇佐見真吾(25)の4人、内野手、外野手合わせて10人前後がプロテクトされると見込まれる。広島は獲得選手の選定を熟考し、年越しも辞さない構えを見せている。
(※引用元 J-CAST)