原巨人のFA戦略が巷を騒がせている。広島から丸佳浩、西武から炭谷銀仁朗を獲得したが、人的補償で長野久義、内海哲也という“生え抜きスター”を失った。ともにドラフトで他球団の指名を蹴り“ジャイアンツ愛”を貫いた。「巨人は冷たい…」などと世間は憤った。
けど待てよ。
考えてみれば、組織というものはもともと非情である。そうでなければ競争社会を勝ち抜けない。
目下チーム史上ワーストの4年連続V逸の巨人。再建を託され、再々登板した原辰徳監督は流出劇に動じてなかった。
「心境的には残念。2人とも長きにわたってともに戦ってきた。戦士という中では一抹の寂しさはあるが、勝負の世界は足し算ばかりではない。引き算もある。答えが出たときに、どういう結果を残すか…」
低迷を続ける組織を改革するには、時には血を流す覚悟が必要だ。結果が悪ければ責任はボスが取る。原監督にはその胆力が見えた。
ところで長野、内海の未来は? 仮に残留したとしても、ともにプロテクトから外れていた。ある意味、構想外。それならば、請われて新天地の方がチャンスは広がる。
というわけで、こんなドラマはどうか?
『長野大化け もったいない資質の逆襲』。主役を張れる器です。“粋な遊び人”として“夜の巷”では有名な長野。東京・銀座のクラブ『K』のMママが褒めていた。
「いろんなスポーツ選手を知っているけど、イケメンでおシャレ。粋で気遣いも半端ない。タニマチも連れずに、いつも自腹よ。大人の遊びを知っている」。これじゃあイケメン原監督も嫉妬!? それが放出の原因!?
実力はある。チーム最年長の阿部慎之助のエールがプロローグだ。「後輩の中で一番練習をしなかった。天才です!」。原監督の口癖もあった。「天才チョ~ノ。惜しいよね、センスであれだけやれるんだもん…」。
“天才とは1%のひらめきと99%の努力”はエジソンの言葉。長野はこれまで努力なし?“1%馬力”でレギュラーだった。移籍先は猛練習で有名な広島である。いくら嫌いとはいえ移籍元年、環境に引っ張られるはずだ。となれば…。
見慣れたはずのオレンジの面影は消え、“真っ赤”に燃える光景が疾走する。古巣残留で“塩漬け”にされるなんてまっぴら。そんな逆襲劇をイメージ。内海もオレンジから西武ブルーの輝きを…が挿入されます。
ン? 拙稿は原監督と違ってシナリオには全く責任を持ちませんが…。(産経新聞特別記者・清水満)
(※引用元 夕刊フジ)