最後を締める投手が不安定
広島は交流戦5勝12敗1分けで最下位。ただし、2018年も7勝11敗。もともと交流戦は得意ではない。ただ、前年は、セの他球団は最下位だったヤクルトを除けば、すべて負け越しとなり、それまでのアドバンテージを失わず、大きく差を縮められることはなかった。今年は3位だった巨人が11勝7敗で終えたため、逆転が起こったが、6月27日現在、1ゲーム差の2位に過ぎない。
今季の広島は4月を終え、勝率.444の5位。月間ではチーム打率.222、防御率3.81と投打とも振るわず、巨人に移籍した打率.306、39本塁打、97打点の丸佳浩の穴は大きいように思われた。
ただ、4月中ずっと低迷していたわけではない。開幕から対巨人、対中日、対阪神がすべて1勝2敗、対ヤクルトが3連敗、対DeNAが1勝2敗。さらに続く鹿児島での巨人戦に敗れた4月16日で勝率は.250、首位に7ゲーム差の最下位。ここがどん底だった。その後、8連勝で4位浮上、その後、3連敗で5位に落ち、4月決戦を終えている。
5月は逆に月間打率が.288、防御率が2.35とバランスが取れ、まったく別のチームになった。20勝4敗と勝ちまくり、独走気配となったところで、6月4日からの交流戦の大失速が起こったわけだ。
次に交流戦と交流戦以外のいくつかの数字を比較してみよう。まず投手であるが、交流戦では先発の防御率が3.69、リリーフが4.06、完了にいたっては7.36(全体が3.85)。対して交流戦以外では、同じ順序で3.40、2.50、3.31(全体3.08)。全体に不振ではあるが、リリーフ陣、特に最後を締める存在の不安定さが分かる。
一番に誰が固定されるか
一方の打者であるが、打順別の打率を比較すると以下になる。左が交流戦以外、右が交流戦だ。
一番 .222→.184
二番 .289→.261
三番 .323→.200
四番 .330→.238
五番 .252→.209
六番 .296→.169
七番 .233→.259
八番 .214→.250
九番 .093→.200
全体では交流戦が.216、交流戦以外が.260だから比較すると大きく落ちたが、特に三、四番と六番の落ち方が激しい。前者はバティスタ、鈴木誠也の不振、後者は誰というより、誰もハマらなかったからでもある。下位打線が意外といいのは、DHとの兼ね合いや、上位では打てずとも下位では、それなりに打ったバッターがいたこともあるかもしれない。
では、果たしてリーグ戦再開後の広島が“強いカープと弱いカープ”のどちらに傾くのか、となると、現状では不確定要素が多い。
強い……に傾けるには“相性のいい”対セとの対戦の中で、まず5月3勝が6月は1勝2敗と崩れた大瀬良大地を軸とした先発投手陣を再構築して、登板過多になっているリリーフ陣の負担を減らし、さらに打線の復調を待つという流れになるだろう。
打線では鈴木、バティスタはいずれ調子を戻してくるはず。カギを握るのは交流戦以外でもはっきり定まっていなかったが、一番ではないか。救世主は野間峻祥か、田中広輔か、はたまた小園海斗なのか。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)