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緒方監督の『鉄拳制裁』、厳重注意の大甘処分で済ますべき問題なのか

2019年7月25日

緒方監督の『鉄拳制裁』、厳重注意の大甘処分で済ますべき問題なのか

衝撃の事実が発表された。広島の緒方孝市監督(50)が全力疾走を怠った野間峻祥外野手(26)に時代錯誤の“鉄拳制裁”を与えていたというのだ。高校野球でも体罰は問題視され、撲滅の方向に進んでいる時代(いまだに完全消滅はできないが)に、その野球界の頂点にあるはずのプロ野球の監督が選手に指導と称して手をあげていたというから開いた口が塞がらない。

発表によると事件が起きたのは、6月30日の横浜DeNA戦の試合後の監督室。この試合、2―2で迎えた延長11回1死で、途中出場していた野間の打球は、あたり損ねの投手前へのフライになったが、ノーバウンドで捕球されると判断した野間は全力で走っていなかった。結局、エスコバーはノーバウンドで捕球できなかったが、緩慢な走塁が仇となってアウトとなり試合は引き分けに終わった。試合後、緒方監督は監督室に野間を呼び、叱責と同時に平手で複数回殴ったという。

複数の報道によると、衝撃事実を発表した鈴木清明球団本部長は、行き過ぎた指導だったが、暴力は常習ではなく、両者の信頼関係は壊れておらず、野間も監督の気持ちを理解しており「暴力だととらえていない」と発言したようだが、理由や背景がどうであれ体罰を伴う指導は暴力以外の何ものでもない。緒方監督は、15日の試合前に全員に謝罪、球団は、同日、厳重注意という“大甘処分”を緒方監督に下しているが、それで済まされる問題だろうか。

アマチュアスポーツ界では、体罰が大きな問題となり、各団体、組織が再発防止策を必死に講じている。その現状に逆行するような行為をプロの監督が行っていたとは言語道断。子供たちに夢を与えるべきプロ野球のトップがいったい何をやっているのだ。

スポーツ心理学の権威である東海大体育学部の高妻容一教授に以前、指導者におけるパワハラ問題について意見を聞いたことがある。 高妻教授は「昔は、選手を怒る、殴るという指導しかできない人が少なくありませんでした。いわゆるパワハラです。でも、そういう指導者は、選手を説得するだけのコミュニケーション能力がないということなんです。理論、信念に裏づけされた指導能力があれば、そういう行為をせずとも選手のパフォーマンス、チームのパフォーマンスをアップすることはできます。そういう指導能力のない昔風の指導者ほど勝てば“オレのおかげ”、負けたら“選手のせいだ”とやるんです。逆に指導能力の高い人は負けて“オレが悪かった、責任はオレにある”とコメントするのです」と分析していた。

殴ることでしか指導できない人は、そもそも指導者としての能力、資格がないのだ。

だが、野球界では、昔からこういうスポーツ心理学に基づく考え方が確立されてきたわけではない。高校、大学の名門、強豪と呼ばれるチームの多くが、軍隊式の厳しい規律を重んじており、そういう環境を耐え抜き、勝ち抜いた選手がプロへ旅立っていった。前近代的な時代には高妻教授が推すような指導者像は逆に異端だった。

その流れを汲みプロ野球界でも“鉄拳制裁”は存在していた。その代表が中日、阪神、楽天で指揮を執った故・星野仙一氏だろう。現在、中日の某コーチもボコボコに蹴られ殴られていたし、中日監督時代に、報道陣をシャットアウトして行われた移動日練習で、全選手、全コーチがいる円陣の中央で、星野氏が「選手のミスは指導者の責任だ」と、某コーチを殴り、選手だけでなくスタッフを震え上がらせたこともあった。確かに星野氏の鉄拳は愛情の裏返しで、殴られた多くの人が、今では「愛情ある指導の証拠」と語り、悪く言う人は誰もいない。だが、今の世代の選手にその手法は通じない。“鉄拳制裁”は美化されるものではない。逆に人心は離れていく。

実は、プロ野球界で“鉄拳制裁の噂”は今でも時折、耳にする。ここ数年の間に、緒方監督と同じような“行き過ぎた指導”を行っていた某監督もいた。表沙汰にはならなかったが、やられた選手の心には、その傷は残り指導者との信頼関係など皆無になる。

プロは個人事業主の集まりである。監督の“鉄拳制裁”がプレーに影響を与えるようならば“営業妨害”である。また、そのような感情で成績が左右されるようでは一流のプロとは呼べないのかもしれないが、プロ野球は143試合を戦うチームスポーツである。マネジメントという意味では、指導者と選手の信頼は重要で、そこに溝の生まれたチームが、ここ一番の勝負で勝てるわけがない。

今回の事件は、開幕前に優勝候補に挙げられながら不振を脱出できないことに苛立つ緒方監督の焦りの裏返しなのだろう。巨人へFA移籍した丸の代役として野間への期待が高いがゆえの行き過ぎた指導だったのかもしれない。しかし、緒方監督の行った行為は球団に対する背信行為でもある。

6月30日に起こり、今月15日に処分していた問題が10日も経過してから、なぜ発表になったのかも疑問で球団の方向性にも問題は感じる。内々で済ませたい問題を表沙汰にした理由として近年徹底が求められているコンプライアンス重視の考えもあったのだろう。

プロ野球の球団には地域の文化的公共財としての役割がある。広島は、カープ女子に代表されるように地域に愛される球団を前面に出して、急激に観客動員を増やし成功を収めてきた。だが、その愛されるべき球団のトップが時代錯誤の体罰行為をしていれば、積み上げてきたものは台無しになる。また日本のスポーツ界全体が、体罰撲滅に大きく舵を切っている時代に、スポーツ界のトップに君臨するプロが、こういう行為を行っていたことはスポーツ界にとっても非常に危険な流れになる。広島は、監督の謝罪や厳重注意で済ますのではなく今回の問題の背景や理由をさらに検証して再発防止策を打ち出す必要があるだろう。(本郷陽一)

(※引用元 THE PAGE

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