侍ジャパンの菊池涼介内野手(29)=広島=が13日、故障でメキシコ戦を欠場。メジャー移籍に黄信号がともった。
前日12日の米国戦で、守備中に覚えた首の違和感から途中交代。症状について、チーム関係者は「むち打ち」と発表した。この日は試合前にグラウンドに姿を見せたものの、アップが始まると輪を外れてベンチへと引き上げ、試合後も報道陣には沈黙を貫いた。
今月8日に広島から、ポスティングシステムによる米大リーグ移籍を容認されたばかり。ただ、マイナー契約しかオファーがなければ、広島残留となる見込みだ。今大会はいわば、ネット裏に陣取るメジャー各球団に対する最後の「アピールの場」。7年連続ゴールデングラブ賞の鉄壁の守備だけでなく、台湾での1次ラウンドで12打数6安打、打率・500と「打てる忍者」ぶりを発揮していただけに、好事魔多しというべきか。
とはいえ、各球団から選手を預かる侍首脳陣にしてみれば、菊池に無理をさせられないのが本音だ。先月末も強化試合で右足薬指を骨折した秋山翔吾外野手(31)=西武=が離脱。メジャー移籍のため海外FA宣言したが、マイナス影響が出る可能性が高い。菊池に「同じ轍」を踏ませるわけにはいかないのだ。
菊池の次戦16日の韓国戦出場は流動的な情勢。野球人としての夢を追い求める上で得策なのは、“見本市”に強行出場することか。それとも大事を取ることか。もちろん日の丸を背負う立場で、世界一を目指す別軸のモチベーションもある。本人にはジレンマ、トリレンマだろう。(山戸英州)
(※引用元 夕刊フジ)