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赤ヘルをかぶっただけで…カープファンは関西でいじめられるのか!?

2019年12月31日

赤ヘルをかぶっただけで…カープファンは関西でいじめられるのか!?

まもなく終わろうとしている2019年。元号が変わったことで、何かと平成元年のことを思い出す機会が多かったのではないだろうか。ところで、広島の人々や全国のカープファンにとっては、思い出深い「元年」がもうひとつある。

帽子とヘルメットのカラーが赤に一新された1975年、赤ヘル元年だ。このシーズン、広島東洋カープは球団創設26年目にして、初めてのリーグ優勝を成し遂げる。

2018年までの3連覇によって、リーグ優勝は9回にまで増えたが、この赤ヘル元年のことを強烈に記憶しているファンもいれば、書籍や映像で後追いしたファンもいるだろう。当時中学3年生だった精神科医・和田秀樹氏は、前者のひとり。ただ、彼の場合、初優勝の喜びにほろ苦い思い出もつきまとう。

ジョー・ルーツのチーム改革で“赤ヘル”が誕生

1974年、カープは3年連続の最下位でシーズンを終了。翌年の采配は、打撃コーチを務めていたジョー・ルーツに託された。このメジャーリーグ出身の新監督によってチーム改革が進められ、帽子とヘルメットのカラーも現在も続く赤へと変更されることとなる。

和田氏がカープファンになったのはその少し前、中学校に進学した73年のことだ。もともと『巨人の星』の左門豊作をきっかけに大洋ファンとなった和田少年は、チームを率いる別当薫監督に陶酔していた。そして、大洋の監督を辞任した別当氏が広島の監督に就任したために、和田少年もそのままカープファンに鞍替えしたのだ。

結局、別当監督は1973年の1シーズンで辞任したが、学業成績が振るわない自身とカープを重ね合わせた和田少年は、カープファンを辞めなかった。しかし、翌年のカープは最下位でシーズンを終了。球団史上初めて3年連続リーグ制覇で迎えた19年とは真逆もいいところ、3年連続最下位で迎えたのが75年のシーズンだったのだ。

赤ヘル生みの親となったルーツ監督が4月下旬に電撃辞任するという緊急事態もあったが、チーム改革は確かに実を結んでいた。首位争いから脱落しないばかりか、8月が終った時点でトップに立っていたのだ。和田少年も意気揚々とし、夏休み明けには弟が買ってきたカープの赤い帽子をかぶって登校するほどだった。

しかし、それを快く思わない同級生もいた。日頃から彼をいじめていた生徒たちだ。ある日、教室にいた和田少年は突然、柔道着らしきものをかぶせられ、視界が奪われた。「週刊ベースボール」(ベースボール・マガジン社)にあったカープの記事を上機嫌で読んでいたときだった。

「カープが調子ええみたいやから胴上げや」

体には柔道着が巻かれ、さらに帯で結びつけられていた。数人から持ち上げられ、そのまま落とされたのを感じたが、すぐに落下は止まった。どうやら、3階の窓から放り投げられ、帯で吊るされていたようだった。

「調子こいとるからや」

そういった声とともに笑い声が上のほうから聞こえてきた。引き上げられると、罵声を浴びせられ、ようやく解放された。

その日以来、カープの帽子をかぶって登校することはなかった。

カープの初優勝を追体験できる小説

彼が通っていたのは神戸の灘中。周りはほとんどが阪神ファンだった。ほかにも阪急、南海、近鉄と在阪球団が多かった時代だ。広島から進学してきたカープファンの生徒もいたが、和田少年は広島とは縁もゆかりもなかった。異端だった。彼をいじめていた生徒たちにとって、理由はそれだけで十分だった。いじめに正当な理由など必要ないからだ。

服装や髪型は自由な学校なのに、それを生徒が許さない。そんな不条理に直面した彼の希望となったのは、誰にも邪魔されない深夜放送や学校での親しい仲間たち、そしてカープの快進撃だった。

このシーズン、カープは中日や阪神との首位争いの末、2位に4.5ゲーム差でセ・リーグを制した。日本シリーズの相手は阪急だった。学校中が急ごしらえのブレーブスファンであふれる中、カープは2分を挟んで4連敗。最後は悔しい思いもして、カープと和田少年の赤ヘル元年は幕を閉じた。

和田氏は、この初優勝から40年が経過した2015年には熱い想いを込めたカープ本『精神科医が語る熱狂の広島カープ論』(文芸社)まで出版。このたび発売したばかりの初自伝小説『灘校物語』(小社刊)でも、当時の熱量そのままに、赤ヘル元年のカープの快挙を忌まわしい出来事とともに振り返っている。

この小説は1970年代の文化・風俗が細やかに描かれた一冊でもあり、異端のカープファンだった主人公・ヒデキを通して、あの頃の空気ごとカープの初優勝を追体験できるのも特色だ。

(※引用元 日刊サイゾー

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