堂林翔太はプロ11年目の今季、チームの主力として躍動した。6年ぶりの開幕スタメンを勝ち取り、主に三塁の先発として111試合に出場し、12年以来8年ぶりの規定打席に到達。打率は自己最高の.279、自己最多に並ぶ14本塁打、キャリアハイの58打点を記録した。昨季の推定年俸は1600万円。グッズ収入のアップ分なども考えると、倍以上となる見込みが濃厚。名実ともに大きな存在感を見せたシーズンとなった。
並々ならぬ覚悟で臨んだシーズンだった。昨季は一軍デビューから自己最少の28試合の出場にとどまり、ガケっぷちに立たされた。巻き返しを図り、昨オフには3学年下の後輩、鈴木誠に合同自主トレを願い出た。上体が前に突っ込むなど、打撃の基本的なところから修正。開幕から好調を維持し、序盤は首位打者を突っ走るなどインパクトを残した。
シーズン開幕前の自主トレ期間中にはこんなことを話していた。「チームが苦しいとき、困ったときに起用される存在であれば、スタメンも増えてくる。どこのポジションを守るかは分かりませんけど、ライバルは多いので、そこを一つひとつクリアしていきたい」。チームが下位に沈む苦しい時期でも、堂林のひと振りで窮地を救ったシーンが何度か見受けられた。
もちろんすべてが順風満帆なシーズンではなかった。疲労、もしくは配球面に苦戦し、不振に苦しんだ時期もあった。三塁守備ではリーグワーストの17失策など課題は多く、まだ絶対的な定位置を獲得できたわけではない。若手有望株もメキメキと力をつけてきており、来季は同ポジションを守れる助っ人も加入する。ライバルは多いが、まだまだ伸び盛りの29歳。ここからが勝負だ。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)