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「わしらが応援せんとダメか…」ポルノ・新藤が綴る『ファンの親心』

2021年7月10日

「わしらが応援せんとダメか…」ポルノ・新藤が綴る『ファンの親心』

今年のカープはどう語ればいいんですかね? 今の季節と同じでジメジメしてますからね。大谷翔平のこととか書きたいですよね。

さて。オリンピックの日本代表にカープから5人選ばれました。この5人を見ても鈴木、菊池、會澤(辞退)の実績組に、森下、栗林の若手組となっており、このバランスはカープのスタメンにも当てはまる。小園、林などが頑張ってるし、鈴木や菊池もそれなりの存在感を示している。若手と中堅、ベテランがいい塩梅で組み合わされているチームって普通強いもんなんですけどね? あれ?

広島の人にとってのカープの存在

やっぱりホームであるマツダスタジアムの勝率が関係しているんでしょうね。

ちなみに僕は広島県出身です。広島に行かれたことある方はわかると思いますが、本当にカープ一色なんです。野球ファンというと、ビールとナイターが楽しみのお父さん、みたいなイメージもありますが、広島ではおばちゃんもカープが好きです。スマホカバーがカープだったり、「カープ、昨日はいけんかったね」みたいな挨拶で会話が始まったりします。

それどころか、以前、クライマックスシリーズの時期に、広島の駅ビルでお茶を飲んでいたら、若い女性同士の会話で「今日、カープどこで見るん?」「家で見ようと思うとる」というのを聞いたことがあります。

さらに言えば、銀行の粗品がカープタオルだったり、広島のローカルCMには選手が登場することも多かったり。広島の人にとってのカープの存在は、自分はファンであるだとか声高にアピールするものではなくて生活の一部なんですね。広島人が広島人に「俺はカープファンだ」と熱く語ったら、相手は困惑するでしょう。「俺は美味い食べ物が好きだ」というのと同じくらい普通のことで「お、おう」としか答えられないはずです。

その広島の中心地にあるのがマツダスタジアム。マツダスタジアムのスタンドから選手に送られる熱量は本当にすごい! どの球団でもホームゲームでのファンの愛情は強く、熱気はすごいと思うけど、マツダスタジアムはまたちょっと違うんです。

例えばジャイアンツにはたくさんの熱狂的なファンの方がいますが、とはいえジャイアンツが東京中を席巻するには町があまりにも大きすぎる。その点、広島は小さな地方都市ですから、カープというコンテンツが隅々まで届きやすい。もちろん、市民と球団の親密な歴史もありますけどね。市内中の人がカープを応援しているから、マツダスタジアムにいる人たちはその代表みたいな意識すらある! チケットのプラチナ化もそれに拍車をかけています。

選手がヒーローインタビューで「ファンの皆さんの声援のおかげでいいピッチングができました」みたいな発言をするのを聞きますが、マツダスタジアムにいると本当に、ファンの声援が塊になって選手の背中を押しているのがわかります。若手のピッチャーが3ボールと不利なカウントにしただけで、地鳴りのように湧き上がる手拍子。ピンチでもなんでもなくても。

心はカープファンの一つのキーワード

で、そのマツダスタジアムでの勝率。2016年からの3連覇の時は、多くの貯金を作りましたが、今年は7/8現在で13勝21敗7分。この原因はいくつかあると思います。主力たちがコロナ感染したというイレギュラーな出来事もさることながら、観客数の制限も影響していると思わざるを得ない。去年もマツダスタジアムで負け越しているのですが、去年なんかは無観客から始まりましたもんね。

こんなわかりやすいことあります?

高橋由伸前ジャイアンツ監督はマツダでの試合が一番嫌だったと発言されていました。どんなにリードしていても何が起こるかわからないから、と言っていましたし、実際、そのころはファンが望むような展開になることも多かったように記憶しています。

それが声援が少なくなったら、こうなるなんて。

不甲斐ない成績にファンとしては腹立たしく思うこともありますが、せめているばかりじゃないんです。この辺りが、我々カープファンの裏腹な心情なんです。「そうか、わしらが応援せんとカープはダメかー」という親心。

親心はカープファンの一つのキーワードです。

「堂林はあんなに真面目に練習しとんのになんで打てんのじゃろうね? 頑張りょうるのにね」

「野間って何年か前に覚醒したんじゃなかったっけ? 素材はええのにね」

「森下はピッチングもいいけど、ほっぺたを赤くして投げるのが可愛いわ」

いろいろ言いますけど、常に親心があるのがカープファンです。

後半も応援しますよ。

(※引用元 文春オンライン

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