2016年からのリーグ3連覇以降、3年連続Bクラスと低迷が続く広島。昨季はシーズン後半に猛烈な追い上げで3位の巨人に詰め寄ったが、あと一歩及ばず4位に終わった。
就任3年目を迎える佐々岡真司監督だが、大黒柱の鈴木誠也の流出が濃厚となった今季は勝負の年となる。
若手投手は充実、左腕王国形成の可能性も
【投手力】
★★★★☆
大瀬良大地、森下暢仁、九里亜蓮の先発三本柱に続く若手投手には左腕王国形成の可能性がある。昨季いずれも15試合以上に先発で起用された床田寛樹、玉村昇悟、高橋昂也に加えて、ドラフトでは即戦力候補として黒原拓未、森翔平を獲得して数年前までの課題が強みに変わりつつある。
その他、新外国人のドリュー・アンダーソン、2年目の大道温貴、高卒2年目で飛躍が期待される小林樹斗など先発候補は多い。ただ、三本柱以外は実績も少なく未知数な点が多く、投手陣最年長の野村祐輔らの奮起が望まれる。
一方、リリーフ陣は、抑えに新人王の栗林良吏が君臨し、中継ぎでは昨季チーム最多登板の森浦大輔が柱的存在になりそうだが、2年目のジンクスという不安もある。塹江敦也、島内颯太郎、ケムナ誠の快速トリオに、160キロ右腕のロベルト・コルニエル、ヘロニモ・フランスアのドミニカンコンビなどが中心となるが、いずれも体調面や安定感などに不安もあり、中﨑翔太や一岡竜司など、3連覇時のブルペン陣の復活も待たれる。
【打力】
★★★☆☆
6年連続で「打率3割・25本塁打」をマークし、その間に2度の首位打者に輝いた主砲・鈴木誠也が抜ける穴は、とてつもなく大きい。昨季後半の猛烈な追い上げも、鈴木誠の打撃成績と比例したものだった。確かに林晃汰や小園海斗ら若手の成長が著しく、昨季リーグ打率2位の坂倉将吾や西川龍馬、菊池涼介らも期待できるが、問題は鈴木誠の後を継ぐ4番打者。昨季3Aで32本塁打のライアン・マクブルームが最有力となるが、新外国人選手はただでさえ未知数なのに加え、コロナ禍の影響で来日遅れが確定している。
野手キャプテンに就任した野間峻祥や堂林翔太らの“再覚醒”、松山竜平、長野久義、田中広輔、會澤翼などベテラン勢の奮起も求めたい。宇草孔基や羽月隆太郎、そして甲子園を沸かせた中村奨成などブレイク候補の若手は多いが、まずは新外国人の出来で打順も大きく変わる。
【機動力】
★★★☆☆
昨季のチーム盗塁数は68でリーグ3位と、かつてのような「広島と言えば機動力」というイメージはない。
個人では鈴木誠と野間、主に代走起用の曽根海成の9個が最多と2ケタ盗塁を記録した選手がいないが、それでもベテランの長野や捕手の石原貴規が盗塁を記録しているように、走者として盗塁ノーマークの選手はほとんどおらず、曽根の他に上本崇司や大盛穂など、控え選手にも走れる選手は多い。野間や昨季43試合で6盗塁の宇草らが定位置を確保すれば、大幅な盗塁増も期待できそうだ。
【守備力】
★★★☆☆
昨季のチーム失策数は80でリーグ5位。若手選手の台頭は打線に活気をもたらしたが、主に三塁で起用された林が12失策、遊撃の定位置を奪った小園が10失策、打力重視で本職の捕手ではなく一塁で起用された坂倉が7失策と、ゴールデングラブ賞常連の菊池涼の二塁を除く内野の各ポジションは不安定な状況となっている。
遊撃で田中が復調すれば二遊間は安定するが、菊池涼、田中とも下半身に故障歴があり万全ではない。外野も強肩で走者の進塁を防いだ右翼手の鈴木誠がいなくなったのは大きい。捕手の盗塁阻止率は會澤の.267が最高で、ここにも攻撃面重視の弊害が見られる。
【采配】
★★★☆☆
ここまでの2年間で選手起用や采配で批判の矢面に立たされた感のある佐々岡監督だが、昨季はルーキー栗林の起用法を明確に制定(3連投やイニングまたぎは原則禁止)するなど、投手起用では一定の成果を見せた。固定されないスタメンや作戦面でのオプションの少なさなど、不安視される点も多いが、延長12回の復活で投手起用を見直す方針など柔軟性も見せており、苦しんだ2年間の経験を采配に活かすことができるか。
(※引用元 SPREAD)