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秋山翔吾獲得で「頭が真っ白…」、鈴木球団本部長の手腕と人間らしさ

2022年7月7日

秋山翔吾獲得で「頭が真っ白…」、鈴木球団本部長の手腕と人間らしさ

いま、カープファンが「最も楽しみにしていること」とは? おそらくその答えは全員同じ。今度の中日戦か? それとも? そう、他ならぬ秋山翔吾の一軍デビューだ。

「あくまで獲得に乗り出したに過ぎない」という感じだったが…

6月26日の深夜。いや、日付が変わって27日になったころ。そろそろ寝ようと思いながらベッドに横になり、スマホでツイッターを見ていた私は飛び起きた。スポーツニュースの速報に書かれていた見出しは「秋山翔吾が広島移籍を決断」。ええええええええええええええええええっ! 信じられなかった。立ち上がってスマホを凝視し、気づいたら意味もなく部屋の中をウロウロしていた。

この時、おそらく日本中のカープファンが似たような行動を取ったのではないだろうか。まずは入団決定のニュースを穴が開くほど読み、今度はそのニュースをRT、あるいは興奮しつつSNSに投稿。カープ仲間にLINEや電話で連絡。カープ入団を伝えた人、伝えられた人。それぞれだったとは思うが、とにかく完全に眠気が吹き飛んだ。その時間にはもう寝ていて、起きてから知った人もきっと、同じように飛び起きて眠気を吹き飛ばしたのではないだろうか。

カープが秋山の獲得に動いた時、わずかな期待こそあれど、入団という結果になるなんて誰も予想してなかったと思う。普通に考えたら古巣の西武に戻るだろうし、マネーゲームになったらソフトバンクの圧勝になる。むしろカープは「あくまで獲得に乗り出したに過ぎない」という感じで、完全に三番手だった。事実、ツイッター上などでは「ユニフォームはそのままでいいね」とか「入団した時のイメージは湧きやすいね」と、やや冗談めいた、本当に獲れるとは思っていない内容が多かった。もちろん、私自身もそうだった。

そこからの「カープ入団」である。まさにサヨナラ逆転満塁ホームラン。ではそのサヨナラ逆転満塁ホームランを招いたのは、いや、打ったのは誰なのか。ズバリ、鈴木本部長(正確には常務取締役球団本部長)だ。今回の報道で初めてその名前を目にした人も、以前から知っている人もいるだろうが、カープにおけるその存在感、功労度は計り知れないほどに大きい。なぜなら新井をカープに呼び戻したのも、黒田をカープに復帰させたのも鈴木本部長だからである。

2014年、阪神にいた新井が球団に自由契約を申し入れた時、古巣のカープに戻るという選択肢は無かった。FAでカープを去った、ある意味では捨てた自分を迎え入れてくれるなんて思えなかったからだ。しかし、阪神の球団社長と話をした時「カープはお前のことをずっと気にかけているぞ」と言われ、その言葉を聞いた新井はすぐに鈴木本部長に電話をかけた。すると鈴木本部長は「何も言わずに帰ってこい。FAの時はワシの言う事を聞かずに出て行った。じゃけぇ、今度はワシの言う事を聞け」と答えた。新井は驚くと共に、とても喜んだ。ただ、球団ではなくカープファンのことを思うと「どのツラを下げて帰るんだ」。新井の葛藤は続いた。今度は黒田に相談した。黒田の答えは「帰ればいいんだよ。関係ない。大丈夫だ」。鈴木本部長が扉を開いて黒田が背中を押し、新井はカープに戻ってきた。

そんな新井の背中を押した黒田とも、鈴本部長はコンタクトを重ねていた。メジャーに移籍した3年目から復帰の交渉はしていたが、それとは別に個人的に国際電話で話をしたり、オフで帰国した時には食事をしたり。さらにヤンキースに移籍してからは、黒田が1勝するたびに投球の印象や応援の言葉を記したメールも送った。ただ、そのやり取りの中ではカープへの復帰については触れなかった。交渉と個人としての付き合いは別。球団職員としてではなく、あくまでひとりの人間としてのメールだったのだ。そしてそのメールは、黒田がカープ復帰を決定する2014年まで続いた。

入団会見の席で鈴木本部長の「個人名」を出したことへの驚き

さて。秋山に話を戻そう。入団会見の際、秋山は「個人として2000安打を打ちたいという思いがあった中、鈴木本部長にそのことを言われた。すごく嬉しく思いました」と語った。

この話は当然ながら皆さんもご存知のことと思うが、私が最も印象的だったのは、秋山が入団会見の席で鈴木本部長の「個人名」を出したことだ。普通であれば「球団の方から」あるいは「フロントの方から」と言えば済む話だが、あえて秋山は名前を出した。私は、それこそが鈴木本部長の人柄を象徴するものだと思った。交渉で「君の力が必要だ」と伝え金額などの話をするだけではなく、その相手がどういう思いで野球をやっているか、どういう環境でやりたいか。ビジネスライクなアプローチではなく「人として」交渉をする。話をする。相手を思う。名前が出たのは、秋山が心を打たれた証しだと思う。

新井がカープに帰る道を作り、メジャーリーガーとして活躍していた黒田を復帰させ、最も不利だと言われていた争奪戦の末に秋山を獲得する。まさに「敏腕」という言葉がふさわしい人物だが、じつはそのイメージとは対照的な面もある。たとえば黒田がカープ復帰を決意し電話をしてきた時、黒田の「帰ります」という言葉に対し「どこへや? ドジャースか?」。カープに帰るという意味ではなく家族のいるアメリカに帰るという意味だと勘違いしたのだ。黒田の声のトーンが低かったため、着信の時点で「断りの電話」だと思っていたのかもしれないが、なんとも微笑ましいエピソードである。ちなみに、その時の着信履歴を消さないためにわざわざ携帯電話を変更、着信履歴の残った携帯を記念として保管している。これまた微笑ましいエピソードだ。

そして今回、秋山から入団を決意した電話をもらったタクシーの車内では、思わず「えっ。マジ?」と答えている。立場は本部長。普通は「そうか。よく決断してくれた!」的なことを言う場面だが、それより先に率直なリアクションが出てしまったのだ。興奮冷めやらぬまま新横浜駅に向かって新幹線に乗ったのだが「頭が真っ白になり、どういう風に(タクシーを)降りてどう改札に入ったのか覚えていない。弁当を買い間違えたかなって(笑)」とも語っている。大きな交渉を成功させておきながら、球団の本部長でありながら、まるで我々ファンと同じように動揺したり喜んだりする。なんと人間らしい人なのだろう。

ドラフトで素晴らしい選手が入団することも嬉しい。期待していた選手が活躍することも嬉しい。でも私は、そういう「選手」という存在はもちろん、鈴木本部長という人がカープにいてくれることが何より嬉しい。正直、感謝してもしきれないほどだ。今回は秋山を獲得してくださり、本当にありがとうございました。これからもその敏腕ぶりと人間らしさ、率直さを、存分に発揮してください。

(※引用元 文春オンライン

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