首位を独走しているヤクルトに緊急事態が起きた。高津臣吾監督や山田哲人、塩見泰隆、中村悠平、青木宣親ら2軍も含めて首脳陣、選手、スタッフの計27人に新型コロナウイルスの陽性反応が出たため、7月9、10日に開催予定だった阪神戦は2試合連続中止に。7月12日以降の試合は予定通り行なわれる予定だが、野手陣はレギュラーの大半を欠き、投手陣も田口麗斗、清水昇、大西広樹らセットアッパーが不在となる。中日、DeNA、巨人と続く9連戦はリーグ連覇に向けて正念場になりそうだ。
ヤクルトを取材するスポーツ紙記者は「それでも大崩れすることはないでしょう」と分析する。
「戦力ダウンは否めませんが、いまのヤクルトは主力を大量に欠いても十分に戦える。絶対的4番打者の村上宗隆がいますし、ファームでも内川聖一、太田賢吾、西浦直亨と1軍で実績のある選手が控えている。救援陣の層も厚い。先発陣で陽性反応が出たのが高梨裕稔だけだったのも不幸中の幸いです。指揮官不在は痛手ですが、なかなかチャンスが巡ってこなかった選手たちのモチベーションは高い。日替わりヒーローが誕生する可能性は十分にあります」
大きな試練を迎えたヤクルトだが、浮き足立つことはないだろう。勝率5割の2位・巨人に13ゲーム差をつける独走で貯金を27と独占。その巨人もチームの要の坂本勇人を欠き、救援陣が不安定なため、勝ちが続かない。ヤクルトにプレッシャーをかけられる球団が出てこないのが実情だ。
秋山翔吾の加入で注目度が高まった広島だが、なかなか借金を完済できない。今年は春先好調だったが、交流戦で5勝13敗の12位と大失速。投打でタレントがそろっているが、能力を発揮しきれていない印象がある。課題だった救援陣の強化も解消できず、今季21度の逆転負けはリーグワースト。2016~2018年にリーグ3連覇を飾った圧倒的な強さの面影はない。
阪神もリーグ屈指の投手陣を擁しながら、やはり開幕直後の低迷が大きく響いている。在阪テレビ局関係者は「矢野燿大監督が春季キャンプ前日に今季限りの退任の意思を示したことで一部の選手たちは心の整理がつかなかったのでは。開幕から地に足がついていない印象で試合に集中しきれていないように感じた。結果論かもしれませんが……。あのタイミングで伝える必要はなかったでしょう」と疑問を呈する。
DeNAもチームとしての戦い方が見えてこない。牧秀悟、佐野恵太、宮崎敏郎、ソトら強打者がそろっているが、リーグ5位の275得点。消化試合数が最も少ないことを差し引いても少ない。塁上に走者をにぎわせることが多いが、得点が入らないケースが目立つ。投手陣に不安を抱えるチームだけに、この戦いぶりだと優勝を狙うのは厳しいとする見方が根強くある。
スポーツ紙デスクはこう語る。
「戦力だけを見れば広島、阪神、DeNAは十分に戦える。3球団に共通するのはベンチワークのまずさです。不可解な起用法が多く、守備を軽視しているように感じてしまうこともある。広島は何年も前から救援陣の強化が大きな課題で、投手出身の佐々岡真司監督が就任したのに全く状況が変わっていない。阪神も主力選手たちの守備位置がコロコロ変わる。DeNAの三浦大輔監督は選手からの人望は厚いですが、指揮官としての能力はちょっと厳しい。1軍投手コーチ、2軍監督を1年ずつ務めて監督に就任しましたが、ちょっと早かったかなと感じます。この3球団は監督が代われば、強くなる可能性を十分に秘めている」
まだ秋風が吹く前だが、今オフの各球団の監督人事も注目される。
(※引用元 NEWSポストセブン)