「(韓国、台湾などには)向こう30年、日本にはちょっと手を出せないな、みたいな、そんな感じで勝ちたいなと思っています」
これは2006年に行なわれた第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を直前に控えた会見で、当時の王ジャパンの絶対的主力として君臨したイチローが放った言葉だ。
発言の真意は定かではない。しかし、世界屈指の安打製造機が放った“ジャブ”は小さくない波紋を呼んだ。とりわけ強い反応を示したのが、1次ラウンドで対戦する韓国だった。
彼らは稀代のカリスマが何気なく口にしたであろう言葉を根に持ち、「打倒・日本」「打倒・イチロー」と話題にした。球場には「30年間、韓国に手を出せないのは日本の方だ」というプラカードを掲げるファンもいたほどで、無論、イチローは日韓戦で容赦のないブーイングを受けた。
そんな17年前に生まれた遺恨(?)は、いまも韓国メディアでクローズアップされる。1月6日に行なわれた日本代表メンバー発表記者会見の直後には、栗山英樹監督とともに出席した大谷翔平の言動を引き合いに、イチローのコメントが皮肉られた。
「韓国と台湾戦を控えたなかで、アジアのライバルに圧勝するという決意の表れではあった。しかし、イチローの発言は今後30年間、韓国が日本に勝てるとは思えないほどに勝つというように響いた」
当時の想いをそう振り返ったのは、韓国メディア『OSEN』のハン・ヨンソプ記者だ。彼は「イチローの傲慢な考えに思うところはあったが、2006年の代表は平静を保った」と回顧している。
そして、同記者は先述の記者会見で「素晴らしい選手が、本当にトップのトップが集まっている印象を受けるので、難しい戦いになるのは分かりきってると思いますけど、精いっぱい日本の野球で頑張っていきたいと思ってます」と意気込みを語った大谷のコメントを引き合いに、端的に私見を記した。
「17年前のイチローとは違い、オオタニによる謙虚さにあふれている褒め言葉だった」
日韓戦は様々なドラマが紡がれてきた。再び注目を集めたイチローの発言もライバル史を語るうえでは欠かせないもののひとつと言える。
はたして、6年ぶりに開催される今回のWBCではいかなる激闘が展開されるのか。すでにヒートアップしつつある日韓戦は、3月10日の1次ラウンド第2戦でプレーボールを迎える。
This day in baseball history:
2009 WBC Championship Japan-Korea
Ichiro drives in two go-ahead and eventual game-winning runs in the 10th inning. Japan closed out Korea in the bottom half to win their second straight WBC Championship. #WBC2009 #Ichiro #Japan #Korea #Baseball pic.twitter.com/5SOEcC7DKu— Alex Kielar (@AlexTBPK) March 23, 2020
(※引用元 THE DIGEST)