開幕ダッシュが絶対に必要だというのに…。3月25日のソフトバンクとの一戦を落とし、広島のオープン戦最下位が決定した。2015年以来の屈辱だ。もっとも近年の広島は、リーグ優勝した2017、18年もオープン戦成績は11位と「春先は弱い」傾向にある。
だが、今季に限ってはそうも言っていられない。
「25日に先発した床田寛樹が心配です。この日は3回5失点、前回登板も5回4失点(17日)でした。昨秋に右ヒジを手術した森下暢仁も“試運転”の状態で、侍ジャパンで腰の違和感を訴えた栗林良吏も、オープン戦に登板しまたが万全ではありません」(スポーツ紙記者)
打線も湿りがち、投打ともに不安要素を抱えているが、今季の広島には一刻も早く調子を上げて、4月中に“貯金”を作っておかなければならない理由がある。
「前半戦、広島は日程的にハンディを背負っているようなものですからね」(球界関係者)
「日程的ハンディ」とは、5月の長期ロード。5月19日からの3日間、広島でG7サミットが行われるために、その準備や警備の都合で、カープは5月8日から22日までの2週間強、本拠地・マツダスタジアムを使えなくなってしまったのだ。
長期ロードといえば、夏の甲子園大会のため本拠地を明け渡す阪神が有名だ。近年ではその8月に阪神が勝率を大きく落とすことはなくなったが、広島は初めての事態。まして、新井監督は就任1年目だ。
「長期ロードとはすなわち、本拠地球場の練習施設が使えないことを意味するんです。阪神は“免疫”ができているけれど、遠征中、選手は限られた時間とスペースでしか練習できません」(同前)
とくに、投手陣の調整が心配だ。
異例の長期ロード明けの1週間後にはセ・パ交流戦が始まる。昨年の広島は、5勝13敗と“1人負け”している。今季もこのまま投打の調子が上がらずペナントレースに突入して、スタートで出遅れてしまうと、交流戦後にV戦線から脱落している可能性もある。
G7サミットの舞台が広島に決まったのは、 広島1区を選挙区とする岸田文雄首相の強い希望だったという。新井貴浩監督の胸中は複雑だ。(飯山満)
(※引用元 Asagei Biz)