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新井監督は『今の時代にマッチした』指揮官!好調を支えるアプローチ

2023年6月1日

 

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広島が大方の予想を覆し、安定した戦いを見せている。オープン戦は投打ともにかみ合わず、8年ぶりの最下位。野球評論家のシーズン前の予想は、広島を最下位に挙げる声が大きかった。

だが、交流戦前の5月28日時点で、46試合を消化して24勝22敗の3位という成績は、この先の浮上も期待できる数字である。

大学時代の通算本塁打数は「2本」

チームを率いる新井貴浩監督は、就任1年目ながらベテランと若手選手、さらには移籍してきた選手をうまく起用しているのが印象的だ。駒澤大学時代の新井の通算本塁打数は2本。本来であればドラフトで指名されるような選手ではなかった。

けれども、当時の松田耕平オーナーが、新井が広島工業出身だと知ると、「獲ってみなさい。体が大きいから打つようになるかもしれない」と決断。1998年のドラフト6位で入団した。

新井は自身のことを「チーム内で一番下手くそ」と公言しては、猛練習に明け暮れた。キャンプの時には朝一番でグラウンドに入り、夕方は誰よりも遅く練習をする。夕食を済ませた後は夜間練習に励み、まさに一日中野球漬けの日々を過ごしていた。

「押し付けないこと」を指導方針に

その結果、1年目から7本の本塁打を打ち、首脳陣から「大学時代より打っとるやないか」と評価された。それからも猛烈なまでに練習を積み重ねた。その姿を見ているからこそ、「どうして新井だけ使ってもらえるんだ」という不満が、選手の間から上がることはなかった。

ルーキーイヤーから6年後の2005年、新井は43本の本塁打を放ち、セリーグの本塁打王へと成長。「『もうダメだ』じゃなくて、『まだダメだ』と自分を奮い立たせてやってきた」努力が、実を結んだ形となった。

だが、新井は監督に就任して以降、自分が現役時代に積み重ねてきたような猛練習を、選手たちに課すようなことはしなかった。新井監督は「自分の経験は伝えても、決してそれを押し付けないようにすること」を指導方針の1つに掲げているからだ。

現役時代は「50本走っていた」が…

昨年の秋季キャンプではこんなことがあった。広島の名物メニューとなっている練習の最後に行う「坂道ダッシュ」。途中から見守っていた新井は、「何本やっているの?」と聞くと、選手からの「3本です」という答えに驚いた。なぜなら新井監督が現役時代のときには「50本走っていた」からだ。

新井監督は選手たちにこう伝えた。

「あくまでも参考だけど、オレは50本を毎日走っていたよ」

その後すぐにその場から離れたのだが、選手たちはノルマの3本で終えてしまった。けれども新井監督はそれ以上強制することはしなかった。

「自分の若いときと今の若い選手とでは、練習に対する目的意識も考え方も違う」

「こういうやり方もあるよ」と伝えて、後は選手の判断に任せる。指導者からの「これは絶対にやりなさい」という一方的に押しつけるような指導は違うと新井監督は考えていた。

自らが非難を浴びた経験を持っているからこそ…

また、シーズンに入ってからは、選手を責めるような発言を一切していない。今季の開幕カードとなったヤクルトに3連敗を喫しても、新井監督は「まだ始まったばかり」と冷静そのものだった。

「チームがダメなら自分が非難を浴びればいい。ボロクソに言われるのは慣れている」

新井監督は監督就任時からその覚悟を持っていた。

新井がFAで阪神に移籍した晩年、チャンスで打席が回ってくると、併殺打を多く打つ場面がたびたびあった。一部の心ない阪神ファンから、「5-4-3は新井の代名詞」などと揶揄された時期もあった。

そうした苦難の時期も経験しているだけに、選手の苦悩もよく理解できる。だからこそ「自分がみんなの防波堤となる」という気概を持って指揮にあたっているのだろう。

簡単に揺るがない「選手への信頼」

もう1つ、新井監督の采配の特長として、「どんなことがあっても、起用する選手を信頼して送り出す」という点が挙げられる。打者が1試合無安打に終わったからと言って、打順を必要以上にいじくらない。あるいは投手が1、2試合救援に失敗したからと言って、安易な配置転換を行わない。

4月30日の東京ドームの巨人戦で、こんなことがあった。抑えの栗林良吏が3対2で1点リードした場面で登板するも、二死走者なしから岡本和真に四球。続く中田翔が栗林の初球をとらえて、左中間へサヨナラ本塁打を打たれて敗れた。

栗林は開幕から1ヵ月足らずで、過去2年間の通算黒星の3敗を上回る4敗目を喫したものの、試合後に新井監督は「彼は今後も抑えで行ってもらう」と明言。

この試合に敗れた翌日、栗林は右内転筋筋挫傷による故障で登録抹消となったものの、新井監督の選手に対する信頼は簡単には揺るがないという姿勢を垣間見た思いがした。

選手を責めるようなことは一切言わない

新井監督は選手に対してこんな話をしている。

「チームの成績が悪い、勝てないときにどんな行動をして、どんな発言するのか。そのときに人間の本性が出るものなんだよ」

これは何も選手だけではなく、監督も含めた首脳陣も同じだと、新井監督は考えていた。試合での失敗を「こうしなかったからだ」「もっとこうすべきだ」などとメディアを通じて選手を責めるようなことは一切言わない。

新井監督は現役時代、天才と呼べるような選手ではなかった。努力に努力を積み重ねた結果、2000安打を放つ選手へと成長し、名球会入りを果たした。誰よりも苦労して技術をモノにしたからこそ、うまくいかない選手の気持ちを理解し、寄り添おうとする心があるのだろう。

決して感情的にならず、冷静かつ常に前を向いて選手を試合に送り出して采配を振るう。新井監督は今の時代の選手の気質にマッチしている指揮官であることは間違いない。

選手たちに対して「家族同然」と話す

新井監督は監督就任した直後の秋季キャンプで、全員の選手を前にしてこう言った。

「カープっていう大きな家の中に、お前たちがいると思っているからな。家族同然だと思っているからな」

これから交流戦に入っていくが、決して一軍の選手層が厚いといえない広島にとって、辛抱しなければいけない時期がやってくるかもしれない。それでも新井監督を中心としたチーム一丸となって戦う野球、ひたむきに1点を取り、守り抜く伝統のカープの野球が、この先花開くことを期待したい。(小山宣宏)

(※引用元 日刊SPA

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