広島は負ければ3位が入れ替わる12日の巨人戦(東京ドーム)で、投手戦を制してAクラスを死守。新井貴浩監督(46)の就任1年目から健闘が光るが、野手陣に広がる〝新井イズム〟は夏本番で不安要素にもなり得る。
「ここまで好成績を残せているのは、間違いなくベテランの力が大きい」。チーム関係者はそう分析し、起用法が佐々岡真司前監督(55)が率いた昨季までと大きく変わった点を指摘する。
ここまで秋山翔吾外野手(35)が全81試合、菊池涼介内野手(33)も74試合で先発出場。田中広輔内野手(34)も昨季わずか8試合だったスタメンが、すでに35試合を数える。
「ベテランであろうと、佐々岡監督時代のような積極的休養を名目とした欠場は基本的にない」と前出関係者。
ベンチスタートの日であっても、「試合途中まで戦況を見つつ、『守ってきて』と途中出場のパターンもある。新井さんの方針があるので、それに可能な限り応えなきゃいけない」と菊池は話す。
試合前の空気も様変わりした。「以前はコンディションが悪ければバレない程度に練習で手を抜いていた者もいたが、今は新井監督がずっとグラウンドに立って目を光らせているから、首脳陣も同じく選手に厳しく接している」と前出関係者。
指揮官自身も猛練習でつかんだ定位置を守るため多少のケガでは休まない選手だっただけに、〝新井イズム〟が浸透しているが、出ずっぱりのベテラン勢は体力の消耗が激しい夏場から正念場だ。
ガス欠を防ぐには、まだ力の差がある若手の奮闘が不可欠。前日の死球の影響で欠場した菊池に代わってこの日先発した23歳、小園の決勝2ランは明るい材料だ。(山戸英州)
(※引用元 夕刊フジ)