日本シリーズも閉幕、野球界はストーブリーグに突入しているが、2023シーズン、大きく注目を集めたのは新井貴浩監督率いる広島の戦いぶりにもあった。
開幕前の下馬評では評論家陣も下位予想が多かったが、フタを開けてみれば、143試合を戦い、74勝65敗(4分け)のリーグ2位。前年度5位から大きくジャンプアップした裏には、新任の新井監督、藤井彰人ヘッドコーチのタッグによる柔軟な選手起用、采配も大きかったとされる。
また新井広島となり、大きく才能を開花させたのは右の大砲候補、末包昇大もいる。社会人の大阪ガスから21年ドラフト6位入団。プロ2年目の今季は65試合に出場、打率・273、11本塁打、27打点の2桁本塁打をマークするなど、飛躍の年となった。
特に野球ファンから注目を集めたのは巨人戦の暴れっぷりだった。対巨人戦では6本塁打をマーク。「6番・右翼」で先発出場した9月23日の巨人戦(東京ドーム)では1試合2発を放つなど巨人キラーぶりを炸裂させた。新井監督の「末包は(打撃を)つかんだ」の愛あるいじりもファンの間ではおなじみ、無類の明るさもチームに好影響を与えている。
また期待されている若手投手といえば今季がプロ6年目右腕の遠藤淳志もいる。20年に5勝をあげたのがキャリアハイとなり、今季も8試合に登板して1勝5敗と伸び悩んだ。来季こそ飛躍の年にできるか。
新戦力でいえば、ドラフト1位で獲得、大学生ナンバーワン投手の呼び声高い、常広羽也斗(青山学院大)も楽しみな存在となりそうだ。最速155キロを誇り、フォーク、カーブ、スライダー、チェンジアップなど変化球の制球にも優れた万能型右腕。順当に階段を上がれば、プロ1年目からのローテーション定着も期待される。
チームでは今季開幕投手を務めた大瀬良大地がオフに入って「右肘滑膜切除」手術を行い、復帰時期は未定となっている。現有戦力の底上げが求められるとあって、来季はどんな顔ぶれでV奪回を目指すのか。今オフの取り組み含め、新井監督の育成手腕も改めてクローズアップされそうだ。
(※引用元 夕刊フジ)