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會澤「俺もどうにもできずにごめんな…」の言葉に、中田が号泣した夜

2023年8月9日

會澤「俺もどうにもできずにごめんな…」の言葉に、中田が号泣した夜

こんにちは、元広島東洋カープの中田廉です。8月に入って暑さが増していく中、カープもとても熱い戦いを繰り広げています。シーズンが始まる前の下馬評を覚えていますか? 5位、6位予想が圧倒的に多かったですが、紛れもなく今年のセ・リーグはカープが引っ張っていると思います。

新井貴浩監督になり、一つの屋根の下で、チーム一丸となってプレーする選手の皆さんを見ていると、本当にカッコよくて、自分も一カープファンとして楽しませてもらっています。

さて、文春野球コラム3本目は、チームを支える扇の要である“アツさん”こと會澤翼選手について書かせていただきます。

本来なら、會澤さんに「アツさんの事をコラムに書かせていただいてもよろしいでしょうか?」と一言伝えてから書きたかったところですが、この場をお借りしてアツさんに届くと大変失礼ながら思っております。

二軍で大量失点した夜、アツさんに食事に誘われて…

初めてお会いしたのは、2009年、カープ大野寮に入寮した時のことでした。初めて會澤選手を見た時に、めちゃくちゃカッコいい人だなと思いました。ただ、少し、いやかなり怖かったです(笑)。2歳年上なのに、風格があり、堂々としていて、威厳の塊でした。

自分が入団した年は二軍の試合にキャッチャーで出場していて、記憶が正しければ、4~5番を打っていました。僕は1年目ということもあり試合で投げる機会はなく、アツさんとバッテリーを組むことはありませんでした。なので、グラウンドでの交流はほとんどなく、唯一の会話のタイミングは寮の食堂でした。当時は少しでもアツさんと喋れただけで嬉しく思っていました。

2年目になり、アツさんと会話をする機会も増えて、自分の野球観や選手としての心構えをたくさん学びました。そして、4年目のこと。8月のあじさいスタジアム北神戸でのオリックス戦。最終回に8対3と点差に余裕があった場面で、僕がマウンドに上がったんです。

そこでアツさんからボールを渡されて、「リラックスでな! 自分の投げたいボール投げていいからな」と言っていただいたのですが、その直後にチームサインを失敗してしまい、焦りもあり、四球、ヒット、四球、ヒットなど、瞬く間に点差を詰められたんです。

動揺している僕のとこにアツさんが来て、「大丈夫か? 頑張れ」と声をかけていただき、その時のマスク越しの優しい顔は今でも忘れられません。ただ、その後も流れを止められず同点で投手交代になり、菊地原毅さん(現二軍投手コーチ)が後続を抑えて、ゲームは負けなかったものの、後味が悪く、相当落ち込んでいました。

帰りのバスでも気まずくて誰とも一言も喋れず、ホテルに到着。到着して、バスを降りた時に「廉! 飯いくぞ!」とアツさんに食事に誘っていただきました。その時はなぜか怒られる……やばい……と、かなりビビっていました。初めての食事、しかも自分のせいでとんでもない試合になっている。迷惑をかけている自覚があったので、そんな気持ちになってしまったんだと思います。

お店に到着して、すぐにアツさんに「いっぱい食べろよ。好きな物頼め」と言われました。まだ怒られると思ってソワソワしていたところ、「今日しんどかったろ? 全然大丈夫だからな。身体大丈夫か? 俺もどうにもできずにごめんな……」と言ってもらえたんです。

その言葉を聞いた瞬間、僕は号泣してしまいました。「また次頑張ろう!」。優しく笑ってもらったのが本当に嬉しかったです。たぶんアツさんは覚えていないと思いますが、僕は今でも鮮明に覚えています。明石駅付近のお店だったはずです。アツさんにも思い出してもらえれば嬉しいです(笑)。

何があっても、アツさんが守ってくれるはず

そして、時は流れ、アツさんは一軍のスタメンキャッチャーになり、僕も2014年以降は一軍でバッテリーを組ませてもらうことが増えました。良い時も悪い時もアツさんとは試合後に意見を交換させてもらっていました。

2017年4月5日の中日戦。3対3の同点で延長11回、12回を抑えた時に、僕とアツさんのガッツポーズがシンクロしたのも嬉しい思い出です。

入団して、アツさんに初めてお会いした時もそうでしたが、自分がカープを辞めることが決まり、最後にアツさんにご挨拶した時、本当に強く握手してもらいました。男としての強さ、かっこよさをずっと変わらず持ち続けているアツさん。「これからの人生の方が長いからな」といただいた言葉を大切にしていきます。

キャッチャーという過酷なポジションで、野球の守備陣で唯一、全員を真正面に見渡すポジションにいながら、背中で語る、背中で引っ張る、そんなカッコいいアツさんに心より感謝の気持ちでいっぱいです。

今年は坂倉将吾選手が捕手専任となりましたが、アツさんはスタメンでもベンチスタートでもチームに徹する仕事をされています。ある試合で坂倉選手がホームランを打った時に、最後列で出迎えて、満面の笑みでハイタッチし、頭をポンポンとしていた姿を見て、本当に自分のことよりもチームが勝つことを第一に考えているのだろうなと思いました。大きい屋根の下で同じ家に全員がいる今年のチーム、その大きな屋根の下でアツさんが全員を見護る。何があっても、アツさんが守ってくれるはずです。

これからより大変な試合が続いていくと思いますが、本当にお身体を大事にしていただいて、そして必ずカープを優勝に導いてもらいたいです。僕なんかが言うのはおこがましいですが、面と向かっては恥ずかしいので、コラムを通して言わせいただきました(笑)。

(※引用元 文春オンライン

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