この秋、坂倉将吾はチームを離れ、日の丸のユニフォームに袖を通して汗を流している。オーバーエージ枠の一人として井端弘和監督が率いる侍ジャパンに選出。24歳以下、入団3年目以内の選手を中心に構成される中、7年目の25歳捕手は「野球人生で初めて」となる日本代表。次世代の球界を担う一人として認められた証しだ。
チームは5年ぶりAクラスとなる2位で今季を終えた。チームのMVPを簡単に挙げることはできない。自身初となる2ケタ11勝を挙げた床田寛樹、規定打席到達シーズンでは初の大台突破となるリーグ2位の打率.305を残した西川龍馬。最優秀中継ぎ投手に輝いた島内颯太郎もいる。だが、昨オフ、新井貴浩監督が就任直後に改革の第一手として捕手専念を決めた坂倉の存在も、なくてはならなかった。
打率.266、12本塁打、44打点は、いずれも直近3年間で最低の数字(本塁打は2021年と同じ)だ。それでも、スタメンマスク102試合(出場120試合)で正捕手としてのノルマはクリア。球団捕手の規定打席到達は、19年の會澤翼以来、4年ぶりだった。捕球ミスなどが目立ったのもシーズン序盤だけ。新井監督が「もっと苦労すると思っていた」という技術面も、試合を重ねるごとに格段の成長を遂げた。
侍ジャパンの井端監督は「打てる捕手は球界でも数少ない。長く代表を務める捕手になってほしいと呼んだ」と期待を込める。一方で、新井監督が「打てる捕手は相手の脅威になる」と求める姿には、まだ届いていない。来季、6年ぶりのリーグ優勝に、捕手・坂倉の覚醒は欠かせない。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)