野球殿堂博物館は18日、今年の殿堂入りのメンバーを発表し、競技者表彰は捕手として横浜(現DeNA)、中日で日本一に貢献した谷繁元信さん(53)、日米通算203勝を挙げた元広島の黒田博樹さん(48)が選ばれた。特別表彰は長く審判員を務めた故谷村友一さんが選出された。
控えめな人らしく、スピーチには恩師への感謝を込めた。黒田さんが「非常に大きな転機」と語ったのが、ゲストとして同席した山本浩二さん(77)の2度目の広島監督就任だった。
監督復帰初年度の2001年、黒田さんは初の2桁となる12勝、驚異的な13完投も記録した。山本さんは自身のスピーチで「かたくなに1人で投げて、投げ抜いて勝ちを取るという性格的にもガッツ、根性のある選手」と黒田さんをたたえた。
当の本人はその後の会見で「なかなか(山本監督に)代えてもらえないというか、少々のことではマウンドを降りることを許してもらえない」と実情を語りながら、「当時は苦しかったが、ああいう経験が40歳まで一線で投げ続けられた要因かなと思う」と分析。「先発投手、エースとしての心構え、責任、そういったたくさんのものをマウンドで学ばせていただいた」と感謝した。
誰もが認めるエースとなっていた07年オフにはFA宣言。ファンが残留を求める中、後ろ髪を引かれる思いでドジャースへ移籍した。名門ヤンキースのエース格にまでなっていた14年オフに広島復帰を決断。当時、20億円とも言われた残留オファーを断った。
「たくさん悩み、自分の中では正解と思って帰って来たが、こういうかたちでこの場に来られたのもカープのおかげ。決断してきたことは間違いじゃなかったなとあらためて感じている」
ファンから「男気」と迎え入れられ、現役最後の16年には25年ぶり優勝の立役者となった。「現役生活を終えて数年たってもファンの人たちはすごく応援してくれるし、声もかけてくれる」。日米通算203勝などの数字をはるかに超えた貢献を世間は知っている。
(※引用元 中日スポーツ)