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元広島・梵が社会人野球へ転身、カープの低迷期を支えた名遊撃手

2018年7月3日

元広島・梵が社会人野球へ転身、カープの低迷期を支えた名遊撃手

元広島・梵が社会人野球へ転身

広島の二塁手はもう何年も菊池涼介で不動だ。抜群の身体能力を持つ菊池が、なぜ守備範囲や肩の強さが最も活かされる遊撃手ではなく、二塁手を守るようになったのか、疑問に思ったことはないだろうか。それは、菊池が一軍の試合に出始めたとき、広島には梵英心という絶対的なショートストップがいたからである。

その梵が、選手兼任コーチとして社会人野球新規参入のエイジェックへ転身する。5月末に明らかとなり、6月下旬にはチーム始動の記者会見に出席し、新天地での再スタートを誓った。

梵は一軍出場がなかった2017年オフに自由契約となっていた。指導者としてチームに残る選択肢もあったというが、その道は断ち、NPB他球団で現役続行を希望。しかし声はかからず、シーズンが開幕してからもどこにも所属していない状況だった。

梵と同じ松坂世代の村田修一も独立リーグでプレーを続けている。そういう状況で可能性が低いことはわかっていたが、カープファンは心のどこかで梵を獲得する球団が現れることを期待し、対戦相手として再び梵のプレーを見られる日を待ち望んでいた。しかし、社会人野球への転身で、その可能性は限りなくゼロに近くなってしまったといえる。

広島の長い低迷期を支えた名遊撃手

梵は、ファンを惹きつける独特の華と個性を持ったプレーヤーだった。俊足を活かした軽やかなフィールディングに、軽くミートしただけのように見えてなぜか外野の頭を越せるパンチ力のある打撃。スマートな雰囲気に魅了される女性ファンは多いが、オールドスタイルのユニフォームの着こなしや、ファウルで粘って相手投手を嫌がらせる打撃スタイルには、通なファンが好むいぶし銀なかっこよさもある。彼のことを知らないとまず読めないだろう珍しい名字も個性のひとつだ。

プロ入りは2006年。1年目から遊撃手のレギュラーを掴むと、バットを極端に短く持つ独特なグリップのフォームでヒットを量産。打率.289、8本塁打を記録し、断トツの投票数で新人王に選出される。3、4年目は不振に苦しんだが、5年目の2010年はフル出場して打率.306、13本塁打に43盗塁で盗塁王を獲得。ゴールデングラブ賞にも選出され、攻守で球界トップクラスの遊撃手に成長した。

6年目の2011年は膝の故障で選手生命の危機に瀕するが、翌年は137試合に出場してカムバック。球界全体で本塁打が激減した「飛ばないボール」の時代に、10本塁打を放って打撃で存在感を示した。梵がプロ入りしてからこの7年目まで、広島の順位はすべてBクラス。二遊間を組んだ東出輝裕などとともに、広島の長い低迷期を支えた選手のひとりだった。

味方・ファンを鼓舞したクールな男のガッツポーズ

梵の広島での12年間を振り返るうえで、ファンには忘れられないシーンがある。8年目の2013年、初めて出場したクライマックスシリーズ(対阪神・ファーストステージ)で見せた、渾身のガッツポーズだ。

このシーズンの梵は打撃が好調で、規定打席にはわずかに届かなかったものの打率.304を記録し、チーム16年ぶりのAクラス入りに貢献していた。プロ野球生活で一番の大舞台に、梵はカープファンの期待を背負って3番・遊撃手でスタメン出場する。

初戦は大勝し、阪神のアドバンテージを含め1勝1敗で迎えた2戦目。2対1と1点リードで迎えた7回表の攻撃だ。1死二塁で打席が回ってきた梵はライト線へタイムリースリーベースを放ち、貴重な追加点をたたき出す。三塁に滑り込んだ梵が、立ち上がりざま味方ベンチに拳を突き上げたのだ。

試合中の梵は「クールな男 」というイメージが強い。それだけにこのときの思わず飛び出したガッツポーズは、ファンの心を震わせるものがあった。入団以来Bクラスしか知らなかった梵が、しびれる場面で野球ができる嬉しさを全身で表現しているようにも見えた。

梵のガッツポーズからカープ新時代ははじまった

思えば、この1勝によるファーストステージ突破は、後々のためにとても大きな意味を持つ結果だったのではないだろうか。Aクラス入りといっても、このシーズンの広島は69勝72敗3分けの借金3。まだまだ優勝は遥かに遠く、若いチームが自信をつけていくために必要な勝利であった。

その勝利を決定づけた梵の一打と、味方・ファンを鼓舞した渾身のガッツポーズ。あの一瞬から、カープ新時代ははじまったようにも思える。連覇の2シーズンはほとんど出番がなかった梵だが、低迷期を支え、次の世代に繋いだ梵のような選手がいたことを、決して忘れたくはない。

(※引用元 SPAIA

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