セ・リーグ3連覇を果たした広島の精神的支柱で、今季限りでの現役引退を表明した新井貴浩内野手(41)が夕刊フジの直撃に応じ、来季以降チームを支えていく後輩たちについて語った。
今季の新井は62試合出場(2日現在)にとどまり、代打での起用が目立つ。チームを牽引したのは、田中広輔内野手(29)、菊池涼介内野手(28)、丸佳浩外野手(29)。同い年の“タナキクマル”トリオである。
「あの3人はとにかくバランスがいいんだよ。みんな基本的に人として“できている”後輩だけど、(叱り役、フォロー役など)分担がはっきりしている。プレーではおのおの頑張っているけど、そういう部分が(優勝に)大きく貢献したんじゃないかな」
一方、3人より1歳上で選手会長の会沢翼捕手(30)の存在も大きいとみている。
「彼はね、表ではあまり動かないけど、裏でチームを叱咤激励して支えるタイプ。会沢がそれを実践しているおかげで、すぐ年下のタナキクマルも動きやすくなっていると思う。会沢がいなかったら、やっぱりこのチームは締まらないね」
新井にとって最も親しい後輩といえば、菊池だ。2人で中国・四国地方限定発売の飲料水のテレビCMにも出演し、話題になっている。
「キク(菊池)はね、(マスコミの)皆さんや世間一般には『やんちゃな選手』という印象があると思うの。確かにそういう部分もあるんだけど、本当に周りがよく見えている子でね。プレーに生かされている部分も十分にある」と強調する。
「今はキクより年下の選手が増えて、彼の見る目が、チームの成長にかなり役立っていると思うなあ。どんな性格で、どんな特徴があるのか、グラウンドから離れたプライベートでも後輩をしっかりと見ている。そこが(若手の成長に)つながっていると思う」
タナキクマルらがプレー以外でもチームを引っ張れるようになったと実感したからこそ、新井は引退の決断に至った。「不安なく(ユニホームを)脱げるね」とうなずく。一方で「いつまでたっても、弟分たちのことは心配は心配だけどね」とおどけるのだが。
広島で長期低迷時代を過ごし、阪神にFA移籍、そして古巣に戻って美酒を味わった。最後は頼もしい後輩たちと一緒にクライマックスシリーズ、日本シリーズで有終の美を飾るつもりだ。(山戸英州)
(※引用元 夕刊フジ)