親友3人覆面座談会(中)
6年連続6回目のゴールデングラブ賞に輝いた守備の名手、広島・菊池涼介内野手(28)の素顔を親友3人が明かす第2弾。(構成・山戸英州)
A「優勝決定直後の10月2日は、キクにとって悲しい日だったと思う。カープに同期入団した同級生の土生(はぶ)翔平外野手(29)が戦力外通告を受けた。そこで、広島市街地から車で約1時間の場所で土生選手を囲んで食事をすることになった。昔から時間にはキッチリしているキク(菊池の愛称)だけど、この日に限って集合時間になっても現れない。土生選手もこれにはさすがにちょっと怒っていた。すると1時間くらいしてから『ごめんゴメン!』と頭をかきながらキクが到着したんだ」
C「あのとき僕はキクと一緒にいたんだけど、遅刻したのは、あるモノを準備していたから。土生選手が“第2の人生”を歩むにあたって使えるようにと、一流ブランドの名刺入れ、パスケース、書類バッグの3点を購入してプレゼント。派手だと持ちにくいと考えて、目立ちにくい色を選んで、それぞれに“S・H”のイニシャル入れてもらっていた。待ち合わせの場所へ向かう車中で、菊池選手は『翔平、喜ぶかな?』って気が気でない様子だったなあ。会食の最後にサプライズで手渡したけど、お互い照れていたのが印象的だった」
B「キクは2011年のドラフト2位だけど、無名校(武蔵工大二高、中京学院大)出身。土生選手は4位だけど地元広島出身で広陵高、早稲田大の超エリートコースを歩んでいて対照的。2軍の寮生活時代には年下の庄司隼人内野手(28)を交えて、よく食事をしたり遊んだりした、気心がしれた仲間なんだよね。それでも、プロの世界は厳しい。土生選手はなかなか1軍で活躍できずに戦力外通告を受けた。キクが次のキャリアへ進む土生選手を『頑張れ』とあえて明るく送り出していたのが印象的だった」
A「土生選手は同期入団4人(育成は除く)の中で初めての退団選手だからね。自主トレも一緒だったし、口にはしないけど相当ショックを受けていたと思う」
--同世代は菊池選手を中心にまとまっている印象があるが…
A「そう思うでしょ。でもキクは『世間では“タナキクマル世代”というけど…われらは“土生世代”だ』とずっと言っている。土生選手には敬意と親しみを込めて“土生センセイ”とか“スタン・ハブセン”と呼んでいるほど(笑)。それだけに土生選手の戦力外は周りにいる俺たちも本当に残念だった。キクは自分が思っていることを口にするのが苦手なタイプだけど、不器用ながらも気持ちを形にしたのが彼らしいと思ったよ」
(※引用元 夕刊フジ)