前半戦の戦いを支えた1人が床田寛樹だ。左ヒジ手術から復帰したシーズン。春季キャンプ前から首脳陣の期待は高かったが、その期待に十二分に応える活躍でチームを引っ張ってきた。
4月6日の阪神戦(マツダ広島)で724日ぶりのプロ2勝目を挙げると、13日のDeNA戦(横浜)でプロ初完投。さらに勝ち星を連ね、自身の連勝を4に伸ばした。
調子の良しあしにかかわらず、試合を作ってきた。良いときは右打者の内角を鋭く突いて付け入るスキを見せない。悪ければ、ていねいに低めを突く投球で1人1人ゴロアウトを奪っていく。ピンチでも粘り強く投げ、致命的な1点を与えない。
修正能力もチーム屈指だ。6月14日の楽天戦(楽天生命パーク)でプロ初の5被弾、2回途中でKOされた。頭は混乱し、ベンチでは涙も見せたが、20日のロッテ戦(マツダ広島)は6回無失点。30日のDeNA戦(横浜)は6回1失点。いずれもリリーフが打たれて勝ちはつかなかったが、悪夢を振り払った。7月7日の阪神戦(甲子園)も、打線の援護がなく負け投手となったが、7回を1失点に抑えている。
後半戦のテーマは、“安定感を持続できるか”だ。チームにとって欠かせない戦力であることは間違いないが、先発ローテーションを守り続けた経験はない。蓄積する疲労、肩、ヒジへの負担と戦いながら、これまでのような投球を見せられるのか。調子が悪くても、試合を作ることができるのか。未知の領域を進むことになる。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)