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カープと開幕と私――今季最初の試合をどう観るか?/文春野球コラム

2020年5月13日

カープと開幕と私――今季最初の試合をどう観るか?/文春野球コラム

文春野球コラムペナントレース。昨シーズン、カープの担当ライターとして初参加し、45才のオールドルーキーながら「セ・リーグ新人王」を受賞。これで2020年シーズンも参加させてもらえるだろうと胸をなで下ろしていたら、村瀬コミッショナーからまさかの監督就任要請が。誠に僭越ながら、今シーズンの文春カープを牽引することになったフリーライターのガル憎と申します。

本来であればこの手の自己紹介はひとこと程度で済ませて本題に入るのが文春野球コラム。しかしプロ野球の開幕延期を受け、今シーズンは開幕までの間「Cリーグ」と称した特別ルールで展開されることに。そして、その旨を伝える各球団の監督ライターへのメールには「Cリーグはとにかく好きなように書いてください」という一文が。ならばお言葉に甘えて……という感じで、レギュラーシーズンなら省略する長さの自己紹介を書かせていただきました。

満開の桜にも負けない「春の絶景」

さて。突然ですが、開幕戦あるいはシーズン最初の球場観戦。皆さんはどのように臨まれていますか? もしくはルーティンのようなものはありますか? 自分は毎年、必ず故郷の広島から観戦をスタートさせるようにしています。開幕戦が広島なら東京から帰省して参戦、逆にビジター開幕となった場合はテレビ観戦で我慢して、広島で行われる最初の試合に照準を合わせて帰省。つまり地元開幕を自身の開幕戦とするのです。

内野自由席で観るので必ず開門前から並び、最初にするのが馴染みの皆さんへの挨拶回り。野球ファンにとって開幕戦は「元旦」のようなもので、それが開幕戦でも地元開幕でも、観戦仲間の皆さんとはシーズン初顔合わせになる場合がほとんど。列の中から知っている人を探して「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と挨拶。列に戻ったら時計とにらめっこ、開門前にスマホの充電が危なくなって持っているチャージャーで充電したりして、いざ開門を迎えたら必死で内野自由席の定位置を目指す。

ここで無事に席が確保できても、まだグランドは見ません。高確率で息が切れているので、背を向けて呼吸を整え、汗が引くのを待ち、身も心も落ち着いたらゆっくりと立ち上がってひと呼吸。そして一気に振り向く。視界に飛び込む新しくて綺麗な芝の色、土の色、そして空の色、マウンド、バックスクリーン。すべてが見えるあの瞬間が大好きなのです。満開の桜にも負けない「春の絶景」が。

いま「お前の観戦ルーティンなんか知らねぇよ」と読むのをやめようとされている方。ご自身のルーティン、あるいは観戦スタイルなどを想像しながらもう少しお読みください。座席を確保し、視界に入る光景を楽しんだら待望の生ビール(もちろんここまでの水分摂取は控えめにしています)。真っ直ぐ腕を伸ばしビールをグランド方向に向けて「今年もよろしくお願いします」と球場に一礼。そして仲間たちと乾杯し、一気に喉に流し込む。これが私のルーティンです。

ちなみに、球場の生ビールって相変わらず高いですよね。このご時世、安い居酒屋なら300円以下、早い時間帯なら100円以下で飲めます。しかし球場では700円~800円。まるで叙々苑、初めて入った居酒屋なら「これ飲んだら出る?」となるような値段ですが、球場だとついつい財布のヒモが緩んで買ってしまいます。なぜなら美味しいから。引き続き「知らねぇよ」と思っている皆さんも、あのビールの美味しさに関しては納得していただけると思います。

五感をフル活用して楽しむ開幕戦

開門時間から入ると、選手たちの練習風景が最高のおつまみに。試合前、のどかな時間の中で響く打球音。選手同士の挨拶。時には選手たちの笑い声、ノックで捕球できなかった時の「あ~!」といった叫び声、それをからかう声まで聞こえてきます(カープだと上本崇司あたりがオススメアイテムとなります)。そうこうしてる内に、今度は心地よい風が吹く。目で楽しみ、耳で楽しむだけではなく、肌でも球場にいることを感じる。これはまさに球場ならではの感覚。最高の時間帯です。

そんな時間を楽しんだあとは「勝負メシ」。開門から1時間後くらいにお腹が減るようコンディショニングをし、旧市民球場時代からの名物である「カープうどん」を食す。先ほども書きましたが開幕戦は元旦。自分はその開幕戦で食べるカープうどんのことを「おせち料理」だと思っています。皆さんも、球場でいつも頼むフードや勝負メシ、きっとありますよね?

開門から1時間、2時間、長い時には3時間。その時間をしっかり楽しんだら、いよいよプレイボール。バックスクリーンにはシーズンを通して使われるスタメン発表の映像、多くの著名人が出演する「それ行けカープ」が初披露されます。それを開幕戦で、すべてのカープファンと一緒に見るのも大きな楽しみ。そして、ここまできたらあとはもう応援あるのみ。新しい応援歌があれば周りと合わせながら歌い、守備も攻撃も楽しむ。点が入ればみんなとハイタッチをして万歳三唱。5回になったらCCダンス、7回になったらジェット風船。いやはや、これまで数えきれないほど味わってきたのに、球場観戦というやつは一体どこまで楽しいのでしょうか。

なお、先に書いた「振り向いて球場を見る」ことが視覚とするならば、練習中の打球音や選手の声は聴覚。肌で風を感じるのは触覚。カープうどんは味覚。試合開始前に五感の内の4つを味わっていることになります。となると残すは「嗅覚」。野球におけるそれは、一体なにか。ズバリ、試合展開を「読む」ことではないでしょうか。

ああ、これは打たれる。よし、ここは点が入る。ただ、この嗅覚というのがなかなか厄介で、自信の有無にかかわらず間違えることが多々あります。昨シーズンの開幕戦すなわち巨人戦。初の開幕投手となった大瀬良がFAした丸から圧巻の4奪三振、巨人打線を完全に抑えてカープが5ー0の完封勝利。完璧でした。試合が終わった瞬間、私は「強い。今年も完全に優勝。間違いない」と断言。私の嗅覚は完全に「4連覇」の匂いを感じ取っていたのです。しかし、その後の展開は皆さんもご存知のとおり。なんとも悔しいシーズンになりました。

という具合に往往にして匂い間違いを起こすことのある嗅覚ですが、今後も私は頼りない嗅覚を含む五感をフル活用して開幕戦、もっと言えば野球を楽しみたいですし、これまで以上に「開幕」に感謝することになると思います。正直、ここまで野球と離れることになるなんて考えてなかったし、待ち遠しいというレベルもとっくに超えてしまいました。もういくつ寝るとお正月、早く来い来い観戦解禁。あの球場の雰囲気、高いけど美味しいビール、知ってる人も知らない人も、性別も年齢も関係なく周囲の人と共有する喜びや悔しさ。新型の2文字から始まる邪魔者を一刻も早く戦力外にし、一刻も早く楽しみたいです。五感がうずまくあの場所で。

(※引用元 文春オンライン)

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