ついに6月19日、2020年のプロ野球が開幕する。120試合の短縮シーズンとなる今年は、例年以上に激しいタイトル争いが予想されるが、果たして栄光をつかみ取るのは誰なのか。本命・対抗・大穴の3つに分けて、タイトル獲得者を予想してみた。
●首位打者
本命:鈴木誠也(広島)
対抗:坂本勇人(巨人)
大穴:西川龍馬(広島)
●本塁打王
本命:ソト(DeNA)
対抗:村上宗隆(ヤクルト)
対抗:鈴木誠也(広島)
●打点王
本命:岡本和真(巨人)
対抗:ビシエド(中日)
対抗:ソト(DeNA)
●盗塁王
本命:山田哲人(ヤクルト)
対抗:近本光司(阪神)
大穴:塩見泰隆(ヤクルト)
最大の見どころは、今や球界最強打者とも言われる鈴木誠也(広島)の三冠王への挑戦だ。昨季は首位打者を獲得し、周囲の期待も高まっているが、2004年の松中信彦(ソフトバンク)以来の快挙達成にはいくつかのハードルを超えなければならない。昨季は本塁打(28)と打点(87)がいずれもリーグ9位。特に打点は、鈴木のように選球眼が良く、しかも相手から勝負を避けられがちな打者は多くを稼ぎにくい。
その意味では、昨年獲得した首位打者がいくらかハードルは低いかもしれない。鈴木以外では、16年の首位打者で、18年にも打率.345を記録した坂本も有力候補。鈴木自身が“打撃の天才”と評する西川もダークホースとして注目される。早打ちが特徴だったが、6月の練習試合ではじっくり選ぶ姿勢が目についた。選球眼の向上が打率向上につながるか注目したい。
本塁打王争いでは、2年連続キングのソトが大本命。昨年10代選手の本塁打記録を塗り替えた村上の台頭も期待される。春のオープン戦の段階からホームランを量産していたオースティンも要注目だ。鈴木にとっても、彼らを押しのけて本塁打王になるのは容易なことではないだろう。
岡本を打点王の最有力候補とした理由は、前を打つ坂本と丸佳浩の出塁率の高さ。岡本自身はそこまで多く四球を選ぶタイプでもないので、打点を多く稼ぐ可能性は高い。ビシエドは自身だけでなく、チームの打線全体が上り調子。2番にアルモンテを置く攻撃的オーダーが機能すれば、打点を稼ぐチャンスはぐっと増えそうだ。
鈴木は昨季、リーグ4位の25盗塁(4位)で、盗塁王まで含めた四冠の可能性もなくはないが、本命とまでは言えない。連続盗塁成功記録保持者の山田、ルーキーでタイトルを獲得した近本のほか、イースタン・リーグ2位の23盗塁を決めた塩見も伏兵として面白い存在だ。
●最優秀防御率
本命:菅野智之(巨人)
対抗:西勇輝(阪神)
大穴:梅津晃大(中日)
●最多勝
本命:今永昇太(DeNA)
対抗:菅野智之(巨人)
大穴:森下暢仁(広島)
●最多奪三振
本命:今永昇太(DeNA)
対抗:大瀬良大地(広島)
大穴:大野雄大(中日)
●最多セーブ
本命:山崎康晃(DeNA)
対抗:藤川球児(阪神)
大穴:デラロサ(巨人)
菅野は新たな投球フォームで力強いボールを取り戻しており、キャリアワーストの不振に苦しんだ昨季からの復活が期待できそう。防御率のタイトルは、打率と同様にダークホース的な存在が手にすることがしばしばある。特に今年は規定投球回数のハードルが下がるので、波乱が起きる可能性も十分。投手優位の球場を本拠地とするチームの投手が有利なのも間違いない。そう考えて、安定度の高い西に加えて、大穴として2年目の梅津を挙げてみた。
最多勝利も、必ずしも最高の投手が取るわけではない。特にローテ1番手はエース同士の潰し合いが発生しやすく、2~3番手の投手が勝ち星を多く稼ぐことも珍しくない。その意味で、大瀬良、K・ジョンソンに次ぐ3番手という位置付けからスタートする即戦力ルーキーの森下は、しっかりゲームを作ることさえできればダークホースになるかもしれない。
これに対して、奪三振は運に左右されることがなく、本当に力のある投手しか取れないタイトル。昨年2位の今永をはじめ、3位の大野、5位の大瀬良らの争いになりそうだ。3人とも長いイニングを投げられることも強み。三振奪取能力の高さという点では、濱口遥大(DeNA)も面白い。
セーブ王は、クローザーが固定されているチームすら少ないとあって、山崎の3年連続タイトルが濃厚。だが、昨年久々に抑えに復帰し、成功率100%で16セーブを挙げた藤川にも期待したい。大穴には昨年途中加入ながら8セーブを挙げた161キロ右腕デラロサを選んだ。練習試合では4試合で無失点と好調で、今季は開幕から守護神に指名された今季はタイトル獲得の可能性もある。(出野哲也)
(※引用元 THE DIGEST)