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菊池は、何がすごいのか?「動物に例えるとネコ」高橋慶彦さんが語る

2021年7月15日

菊池は、何がすごいのか?「動物に例えるとネコ」高橋慶彦さんが語る

全国のカープファンの皆さん。元広島東洋カープの高橋慶彦です。昨年10月にこの文春野球コラムペナントレースでコラムを書かせていただきましたが、今回、再びこの場で書かせていただくことになりました。よろしくお願いします。

今回は、ズバリ、プライベートでも交流がある菊池涼介選手について書きます。というのも、菊池君と仲良く写真に写っている姿などが自分のツイッターを含むSNSなどで公開され、多くの方から「どういう経緯で仲良くなったのですか?」あるいは「年が離れているのに仲がいいですよね?」と聞かれることが多く、せっかくなのでこの場をお借りして書かせてもらえればと思った次第です。

「なんか俺と同じ匂いがするな」

2年ほど前、広島ローカルの正月特番で菊池君が広島の街を探索する番組があって、そのサプライズゲストとして自分が出演したんです。それまでにも交流はあったのですが、プライベートで食事をしたりするようになったのはその番組がきっかけですね。

彼の性格は、本当にあのまま。皆さんが見ているとおりです。あっけらかんとして、僕の目の前でビシッとするわけでもなく、普通に接してくれて。逆にそれが嬉しかったんですよ。目の前で硬直されているよりは気が楽なんで。もしかすると菊池君とは感覚的なところが合うのかもしれません。初対面の時も「なんか俺と同じ匂いがするな」って思ったほどなので。

彼のあっけらかんとしてる部分を例に挙げると、たとえば「今度大活躍したらメシおごってやるよ!」なんて約束をして、実際そうなるとしますよね。僕としては約束も果たしたいし、もてなしてあげたいんで「よし。寿司に行くぞ!」と連絡をするんです。すると「魚は嫌いです」って返信が来るんですよ(笑)。普通、先輩から誘われたら嫌いなものでも我慢して食べるとか、多少あるじゃないですか。でも、彼は「肉がいいです」とか素直に言ってくるので、沖縄キャンプの時なんかもステーキハウスに連れて行ったりしました。ちなみに、坂倉(将吾)君なんかも、俺を怖がらずに接してきた選手のひとりだったりします。彼なんかは菊池君より若いから、それこそ僕の現役時代とか、そういうものにピンと来なかったりするんでしょう。逆に接しやすいのかもしれませんね。

ちなみに、そういう食事の場では野球の話ばかりしてるようなイメージがあるかもしれませんが、例えば少人数で食べる時は、ほとんどくだらない話ばかりしてます。逆に、人数が多い時、やはり野球の話になりますね。そこではいろんな話をしています。

彼にはゆるキャラのような面があると思います

あと、よく「バッティングについて指導したりしないんですか?」って聞かれることがあるのですが、それに関しては、まったくしません。なぜなら、監督やコーチのようにずっと彼のバッティングを見ているわけじゃないから。見ていれば言えることもあるでしょうが、少し見たくらいで言うのは、逆に失礼ですからね。

ただ、彼のバッティングを見ていて思うのは、変な話かもしれませんが、思ったよりも、悪いところが目につかない子なんですよ。でも、なんでここで振らない? なんでここで振る? そういうのはあります。だから、見ながら「山かけか?(球種に山を張っている?)」と思ったりはしますね。球種に山かけ、カウントに山かけ、みたいな。なんと言えばいいのか、感覚で打ってるような感じがあるからこそ、逆に悪いところが目立たないんです。単に、調子の悪い時はいい球に手を出さず悪い球に手を出す。いい時はその逆。それだけ、みたいな。

彼の場合はスイングとかフォームとか、そういう部分じゃないんですよね。言うなれば野性的。それはファンの方も感じている部分じゃないでしょうか。たとえば他の選手が打てないと「なんで打たないんだ!」って思うけど、菊池君の場合は「まあ、いっか」。そう思えたりする不思議な部分があるんです。つねに打つ3割バッターではない。かといって意外性のバッターでもない。その中間のような。変な言い方かもしれませんが、彼にはゆるキャラのような面があると思います。元気だし明るいし、うん、まあ打てなくても許すか、みたいな。僕に馴れ馴れしく接してきても、不思議と腹が立たない。それが彼の魅力、人間性なんだと思うのです。

動物に例えるなら、ネコがプレイしてるような感じ

あと、これは言うまでもありませんが、彼の守備は天下一品です。彼の守備を見ていて思うのは、身体の逃がし方が上手いですね。地面を使わないで、身体のひねりで送球している。普通はボールに向かって飛び込んで、地面を足でつかんで投げるんですが、逆に足を逃がして、あるいは滑らせて、その勢いでボールに力を加える。彼の守備を思い起こすと、送球後に転がってるイメージが強いですよね? そういうことなんです。地面から力をもらわずに、倒れそうになった状態から捕って、空中で身体を上手くひねって送球する。身体の中で送球の力を作り出してるんですよ。

ちなみに、過去の選手との比較のようなことを聞かれることがありますが、正直、同じタイプの選手はいません。あそこまで身体を上手く使ってる選手はいないです。というより、あれだけクルクル回ってるセカンド、いないですよ。本来セカンドは、ああいうプレイスタイルのポジションじゃないですから。分かりやすく言うと、本来なら捕るだけで充分、とてもじゃないけどそこから送球動作になんか入れないようなボールを彼は送球しているんです。外野に抜けるような球に追いついて、しかも捕って、さらに投げる。正直、あそこまでの選手は他にいませんね。

そう考えると、極端な話ですが、もし氷の上で靴を履いてプレイしても、彼はちゃんと送球できるんじゃないかと思います。僕や他の選手だとこけてしまうけど、彼はこけそうな状態を利用しながら身体を上手く使い、ボールに力を加えて投げられる。あとは地面との距離が近いところで飛んでいる。低いところで飛んでいるから、送球後にすぐ転がれるし、それこそそのまま落ちてもケガをしない。そういう意味で言うと、彼は地面と仲がいいんだと思います。地面をどう使ったらいいか分かっているんだと思います。動物に例えるなら、ネコがプレイしてるような感じですね。ネコがジャンプする時って驚くほど身体が伸びるし、驚くほど身体をひねるでしょ? まさにあれ。菊池君はネコ科ですね。

そんな菊池君ですが、僕のツイッターでも書かせてもらったとおり、8日の試合の打席で顔を顰(しか)め、翌日の試合で途中交代。次の試合は出場しませんでした。カープにとっても球界にとっても大切な選手なので、ケガのないよう、シーズン終了まで元気に明るくプレイをしてほしいです。あと、最後になりますが、現在、苦しい戦いが続いているカープ。とにかくファイトです! OBとして、カープの奮起に心から期待しています!

(※引用元 文春オンライン

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