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大瀬良大地の一軍復帰で考える『結局(エース)ってなんなのさ』問題

2022年9月6日

大瀬良大地の一軍復帰で考える『結局(エース)ってなんなのさ』問題

久々に「イーッ」の顔を見たような気がする。

9月2日の対DeNA戦、3週間ぶりに一軍復帰登板した大瀬良大地のことである。大瀬良はこの日、たびたびランナーを出してピンチを背負うものの、要所を締めて7回を無失点に抑えた。ピンチを凌いでベンチに戻る際、大瀬良は口を横に広げて「イーッ」という表情をする。この試合で大瀬良は「イーッ」を連発していた。

ちなみに大瀬良がよく見せる表情には、ほっぺたを膨らませる「プクー」というのもあり、これは思うような投球ができなかった時などによく見られる(最も印象に残るのはカープがCS進出を逃した2015年の最終試合、打たれて交代を告げられた大瀬良はプクーであった)。「プクー」はわかりやすいが、ピンチを凌いだならば笑顔の一つも見せてもいいはずなのに、なぜ大瀬良はそこで「イーッ」とするのだろう。そこには「エースとしての重圧」が関わっているように思う。

エースとはそんなに絶対的な存在なのだろうか

エースとは、その球団で最高の先発投手と考えられている。現在「カープのエースは誰か」と聞かれれば、多くの人は迷わず大瀬良の名を挙げるだろう。大瀬良の投げる試合は勝って当たり前、とファンは思ってしまう。だから裏切られた場合の失望も大きくなる。

今シーズン、二軍降格前の大瀬良は6戦連続で勝ち星がなく、特に降格直前の8月12日対巨人戦では3回5失点と打ち込まれた。この状態に辛辣だったのが地元メディアで、中国新聞のコラム「球炎」には「今の広島に、もはやエースはいなくなった」と書かれ(※注1)、RCC中国放送では横山雄二アナが「大瀬良はエースなんですかね?」(※注2)と疑問を呈した。大瀬良自身も冒頭の試合後に「さんざん迷惑をかけた」と繰り返し語っていたように、「エースとしての期待」に応えられないというもどかしさがあったに違いない。その気持ちが「イーッ」に表れていたのではないだろうか。

しかし、エースとはそんなに絶対的な存在なのだろうか。どんなにすごい投手であっても、シーズンを通して無敗ということはまずあり得ない。更に、必ずしも「最も良い成績の投手=エース」という訳でもない。現に昨シーズンのカープの投手成績を見てみれば、勝利数では九里亜蓮が13勝で大瀬良の10勝を上回り、防御率では森下暢仁が2.98で大瀬良の3.07を上回っている。それでも九里や森下をエースと呼ばず、大瀬良をエースと呼ぶのには、成績以外の何かが影響していると考えざるを得ない。

過去にカープで「エース」と呼ばれた投手を思い出してみれば、北別府学、大野豊、川口和久、佐々岡真司、黒田博樹、前田健太……といった名前が挙がる。「この投手の名前が入っていないじゃないか」と思われる人もいるかも知れない。また、先日読んだ本(※注3)には「初代エース長谷川良平」「カープが誇る4代目エース佐々岡真司」と書かれており、「では2代目、3代目は誰なんだろう……」としばし頭を悩ませたものである。つまり、「誰をもってエースと呼ぶか」という基準は、結構主観的で曖昧なものであることがわかる。

エースの称号は却って害になりかねない

そうは言っても、ある投手を「エース」と呼ぶ場合、そう呼びたくなる何かを備えているはずだ。「エース」と呼ばれた当の本人は、その要素をどう自覚しているのか。たとえば黒田博樹はその要素を「安心感と信頼感」とし、「今日の試合、こいつが投げるっていう時に、チームやファンが安心感を持てる。それが信頼感になると思うし、そういうのを与えられるピッチャーこそがエースだと思う」(※注4)と語っている。大野豊はエースの条件を「1.最低でも15勝を挙げていること 2.勝負をあきらめず、投球で士気を挙げられること 3.継続的に結果を残していること」(※注5)としている。もちろん成績も重要だろうが、共通するのは「チームを勝たせようとする精神」が感じられることではないだろうか。

前田健太というエースが抜けた2016年以降、大瀬良は次世代のエースと評されるようになった。しかし2015年シーズンの大半は大瀬良は中継ぎとして登板していたわけで、なぜ「エースの引継ぎ」がスムーズに行われたのか。それは前述の2015年の最終試合、ベンチで号泣する大瀬良を前田が慰める姿が、多くの人の心に強烈な印象を残したからではなかっただろうか。「マエケンの精神の後継者は大瀬良」と、あの時誰もが思ったはずだ。

大瀬良は、そうした「エースの自覚」を常に抱きながら振舞ってきたように思う。それが良いパフォーマンスに繋がるのであれば理想的だが、その重圧がプレッシャーになったり本人を苦しめたりするのであれば、エースの称号は却って害になりかねない。

こうなったら、その「エース」の重圧を分散させてはどうだろうか。思えば私がカープファンになった1990年も、チームには北別府、大野、川口、佐々岡の他にも長冨浩志や金石昭人など、「エースが複数いる状態」であった。「かわいいエース・森下」「左腕エース・床田」、「頑丈エース・九里」といったように、いろんなエースがいることで、大瀬良の負担が軽減されるのではないか。投手王国にはエースが何人いてもいいと思うのだ。

(※引用元 文春オンライン

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