「あなたのカープはどこから?」
3連覇前Aクラスあたりからの皆さん、元気ですかー? 泣いてませんかー?
私のカープはどこから?と聞かれれば「初優勝うっすら前」です。
広島生まれなのでね、カープが存在していることが日常でした。あって当たり前のカープ坊や貯金箱、毎年のカープカレンダー、中国新聞のカープ記事、道行く子供は普通にカープ帽子。だけど応援しているかと言えば否、カープの存在が当たり前すぎて万年最下位だってことすら気に留めていなかった小学生。応援がわかってなかった。
初優勝前の異様な広島の雰囲気をどうお伝えしたらいいのかいつも迷う。どれだけ言葉を尽くしても戦後球団設立から応援してきた人たちの熱気を形にできない。25年かかった初優勝、パレードにはご家族の遺影を抱えたファンも多くいらした。
あれ? ……ここまで勝てないの。なんで?
まさか自分が次の25年を経験するとは。ええ、夢にも。
だって初優勝後、カープは強かった。優勝しなくとも2位3位、優勝争いをするチームだった。うちらは強さに慣れとったんよ。
日本シリーズに浮かれていた、強いカープに浮かれていた。
このあと、じりじりと球場観戦客数が減っていく現象が広島で起きる。
強かったのに、強かったからこそ「応援しなくても勝つじゃん」になったのか、球場で勝利を観なくても勝ったというだけで満足できたのか。私はアニメーターになるため上京した遠き東京から、取り寄せた月刊カープファンだけが頼りの応援をしていた。球場に行く金はなかった手取り10万の動画マン。消費税は無かった。
そして皆さんご存知の通りカープは万年Bクラス5位が定位置と笑われる存在になったわけですがこれは戻ったと言うべきなんですかね。思えば私は第2次優勝ないない25年ずっとカープの弱さに戸惑っていた。あれ? 弱い? うそ、だって首位打者でたし、黒田おるし、指名ドラフトのせい? あれ? ……ここまで勝てないの。なんで?
強いカープを好きになった皆さん、ここです、応援するタイミング
だけど以前の最下位定位置のカープと違うことがあった。広島ゆかりでないファンが増えたこと。
優勝から遠ざかって20年以上、Aクラスは遠くCSなど知らぬ。負けが込んでいるのに観客が増えていく摩訶不思議さを体験したあの頃。強くなっていく過程で、強くなってからのカープを好きになったファンも、もちろん多くいるんだろうなって思う。勝負だもんね、勝つって気持ちいいし大切だ、だから強いを理由にカープを好きになったファンも同じファン。いかないで。ここにいて。
「あなたのカープはどこから?」
強いカープを好きになった皆さん、ここです、応援するタイミング。
東京ドーム観戦時、うしろのおじさまが何年かぶりの観戦だとかで「へえー、カープファン多いなあー」と赤さに驚いていた。同行のおじさまが「何年か前に増えたんだよ、ほら、えーとなんだっけ、そうそう『カープレディー』ての?」
「カープ女子」遠くなりにけり。また新しく始めるいい機会ではないか。
弱いを知ってる同志よ、だからこその応援を知ってる皆さん。
応援のし甲斐があるじゃないですか。泣かないで。
CS行きたいなあーー! のぅやー。
(※引用元 文春オンライン)