長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。
足が遅い選手に対して……
かつての広島では、足が遅い相手選手を“石コロ”と言っていた。「バッター、石コロだから歩かせても(どうせ走らないから)怖くない」といった具合だ。
あるときも広島の捕手・達川光男は、投手の津田恒美に「バッター、石コロよ」と声をかけた。“ここは歩かせよう”という意味だ。しかし、打席の大男がこれで血相を変えた。
ヤクルトの大杉勝男である。ドスの利いた声で「お前、人間に向かって石コロとはなんだ」と言われ、達川は心底、震え上がったという。
この打席は、そのまま歩かせたが、次の打席では勝負し、ホームランを打たれてしまう。大杉はホームにかえってきたところで、達川の頭を殴るような仕草。これがテレビで流され、有名になった。
「世の中には怒らせちゃいかん人がおると分かった」達川はその後、シミジミ反省した。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)